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1:トンカラリン助
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2025/01/27 (Mon) 14:23:43
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来たる今年の9月3日、
都市伝説…奇憚…blog 開設20周年
に向けて掲示板を立てました。
管理人様の健勝復活の願いも込めて。
(投稿の内容がアレとか関係無く)
ぼっちで百物語は嫌なので、
皆様も怪談や都市伝説をいっぱい投稿してくださいm(_ _)m
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2:トンカラリン助
:
2025/01/31 (Fri) 15:34:15
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ある日の放課後、少女は図書室で、
「読んではいけない本」
という名前の本を見つけました。
その本の表紙には題名だけが書かれていて、作者の名前もありません。
本を開くと最初のページに、
「読むな。
すぐに閉じよ」
と、それだけが書かれており、なぜ、その本を「読んではいけない」のかはわかりません。
けれど、逆に本の中身が気になってしまった少女は、その扉の先へ進みました。
その本に書かれていたのは、いわゆるホラー小説で、全身に包帯を巻いたミイラ男のような怪人が子供を襲うという話でした。
最初は、少し読むだけのつもりが、話につれて少女は物語に没頭していき、気付けば、図書室にいるのはもう彼女一人だけです。
早く結末を読んで帰ろうと、次のページをめくる少女。
ところが、次のページには続きの文章も、何も文字が書かれていません。かわりに、誰が書いたものなのか、
「ここでやめろ
先にすすむな」
と、真っ白なページに、鉛筆で殴り書きがされています。
ここまで読んできたのにやめられるわけがありません。少女は気にせず、その先を開きました。
しかし、次のページを読み始めてすぐに、少女は目を丸くします。
本の中に新しく出てきた登場人物の女の子が、彼女にそっくりだったのです。
物語の中では、本を読んでいる女の子の後ろから、ミイラ男が近づいてきます。
一歩、また一歩と、なにも気づかない女の子に、ゆっくりと近よる怪人。
そして、ついにあと一歩で女の子が襲われるところで、少女は背後に、妙な気配を感じました。
なんだろう?
思わず少女は振り返り、その気配の主を見て、言葉を失いました。
そこには、本の中の怪人そっくりのミイラ男が、今にも彼女に襲いかかろうとしていたのです。
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3:トンカラリン助
:
2025/03/15 (Sat) 12:34:04
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朝、車の窓が子供の手形だらけになっていた。
登校途中の小学生たちの悪戯だろう。
安い中古車とはいえ、買ったばかりの愛車を汚されて腹が立つ。
休日の朝を最悪な気分にされた怒りを晴らすためにも、油膜取りで窓を拭く。
…あれ? 全然落ちない。
不思議に思って指でなぞった瞬間、全身に鳥肌が立った。
手形は全部、窓ガラスの内側についていたのだ。
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4:トンカラリン助
:
2025/03/27 (Thu) 07:14:37
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ある若い夫婦の話。
GWの初日。
久し振りに、2人一緒の休暇を取ることが出来た夫婦は、手つかずにしていた家の掃除を始めた。
最初はただの清掃や整理が、いつの間にか大掃除になってしまい、ようやく家中が片づいた頃には、すっかり日が暮れてしまっていた。
テレビを見ながらくつろぎ、のんびりとした時間を楽しむ2人。
そこに突然、ニュース速報が流れる。通り魔による無差別殺傷事件が起きたらしい。
「おい。これって近くじゃないか? 犯人、まだ捕まってないって」
「戸締まりは、ちゃんとしたわよね?」
「したと思うけど…ちょっと確かめてくる」
家中の窓と玄関を回り、戸締まりを確認する夫。
それでも、凶悪犯が逃走中というニュースに、2人は不安な気持ちを抱かずにはいられなかった。
「ねぇ、事件が治まるまで、どこかに出かけない? 人がたくさんいるところの方が、逆に安心出来ると思うの」
「そうだな…夕飯もまだだし、こんだけの事件なら、警察がすぐ犯人を捕まえるだろ。ちょっと出かけるか」
「それじゃあ私、お化粧直してくるわ」
「ああ。ついでに、着替えの服を用意してくれ」
夫の返事を聞いて、妻は家の奥の寝室に向かう。
夫も出かける前に顔を洗おうと、洗面所から妻に声をかけた。
「どの服を着てくの?」
「そうだな…なんでも良いよ。白のTシャツを出してくれ」
「白のTシャツ? どこにあるの?」
「そこだよ」
「え? どこ?」
「そこだってば。クローゼットにかかってるのは、全部白のはずだろ?」
「全部赤い柄物のシャツよ?」
「何言ってるんだ? 全部赤い柄物だなんて、そんなはずないだろ」
「……………………」
「ん? どうした?」
「……………………」
「おい。大丈夫か?」
急に返事をしなくなった妻を心配して、夫は寝室に向かった。
その直後、居間のテレビに、再びニュース速報が流れた。
『速報です。
犯人は逃走の際、駆けつけた警察官に銃で撃たれ、負傷しているとのことです。
繰り返します。犯人は負傷して、血を流しているとのことです。
テレビをご覧の皆様は、自宅や最寄りの敷地内で、それらしき不審な人物、或いは血痕を見かけた場合、すぐにその場を離れて警察に通報してください。
それから、家の戸締まりには、くれぐれもご注意ください……』
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5:トンカラリン助
:
2025/04/04 (Fri) 17:54:30
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目が覚めると、駅員の制服を着た男が自分を見ていた。
憂さ晴らしの飲みすぎで記憶が曖昧だが、どうやら泥酔して駅のホームで倒れてしまったらしい。
駅員の男が言った。
「ここにあった! 頭を見つけたぞ!」
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6:トンカラリン助
:
2025/04/05 (Sat) 17:45:05
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夜。帰宅して玄関の扉を開けようとしたら、ドアチェーンがかかっていた。
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7:トンカラリン助
:
2025/04/06 (Sun) 12:13:13
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225 :名無しさん@お腹いっぱい。:2001/01/14(日) 02:39
すいません、、、数年前からとっても気になってることがあるので、
スレ違い・板違いかもしれませんが、ご存知の方がいらっしゃいましたらと思って。
数年前、上野公園の裏手(上野高校や動物公園駅のほう)で、変な張り紙を見つけました。
あまり目立たぬように貼ってあったのですが。
『箱男集まれ ●月●日 AM△時(深夜が指定されてた)○○通りの~~歩道橋』
というものでした。
その付近に2,3箇所同じものが貼ってありました。
安部公房の箱男しか知らない私は、なんのことだか分かりませんが、
上野公園の裏手ということもあり、(上野ってモーホーのメッカですよね)
モーホー関係の集会?それとも秘密結社(藁?
すっごく気になって、具体的な集合日時と場所が書いてあるので、可能なら逝ってみたかったのですが・・・
お芝居や演劇等の宣伝でもなさそうだし(集合場所と時刻を考えると)。
単なる悪戯?
226 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:2001/01/14(日) 02:49
箱男?安部公房じゃなくて、電波少年でやってたほうかも。
227 :名無しさん@お腹いっぱい。:2001/01/14(日) 02:52
>>226
いえ。電波少年って最近やったのですよね?(良く知らないのですが)
私が見たのはもう4年くらい前です。
228 :はちみつバステト:2001/01/14(日) 02:53
ダンボール箱に住んでる男に集合をかけていたのでは?
トラックの荷台に載せて、ちょっとアヤシイ作業現場に連れて行く。
日当はいいのだが、なぜか病気になる人が続出するという・・・。
これは考えすぎかもしれませんが、その手の日雇い労働者集めなのでは。
229 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:2001/01/14(日) 05:10
>>225不思議な貼り紙ですねー。
そもそも『箱男』って言葉、『電波少年』以前には安部公房の小説にしか出てこないですよね?
仕事の呼び込みだったら普通はつかわないでしょ。
それに第一、箱男たちは世間との接触を断つために箱男になったわけだし…集合をかけても集まらないんじゃ!?
なにか、アングラ的な臭いを感じます。演劇、あるいはパフォーマンスの呼び込みじゃないスかね。
230 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:2001/01/14(日) 05:24
上と少し似てるようで、似てないようなことなんだけど…
今から7年くらい前に神奈川の横須賀で、奇妙な落書きが蔓延したことがありました。
レポート用紙に小さく、マルに線の顔と、『好きっ!』っていう言葉がびっしり書かれたものが、
トンネルや地下道の壁にやたらと貼られているのです。
そのうちに落書きは、レポート用紙からクレヨンで直に描かれたものにかわり、
内容も、マルに線目で『サタン』『スキッ!』にかわりました。
その落書きは主に国道沿いに、10キロくらいの間のトンネルや通路、ガードレールなどに描かれてました。
痛い人の仕業には違いないんだけど、
「あまりにも念が入り過ぎていてキモチワルイね」などと知り合いと話していた矢先のことです。
その落書きが『○○(女の人の名前)を殺す!』というものにかわったのです。
女性が誰なのか、実在するのか、あるいは例えばドラマのだったりするのかはわかりません。
その落書きが現われて以降、落書きは更新されませんでした。
実際に誰かが不幸な目にあわれたのでしょうか。今でも気になっています。
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8:トンカラリン助
:
2025/04/06 (Sun) 12:34:02
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近所の中学校に伝わる学校の怪談。
西棟の階段を放課後4階から1階まで、誰にも見られず一段抜かしで降りていくと途中から手毬唄が聞こえてきて、歌い終わるまでに1階につかないと手足がバラバラになるという話。
その中学に通っていた従兄弟から聞いて、由来も何もないし他の話より嘘くさいなーと思っていた。
自分は私立に進学したのだけど、仲の良かった女子がそこに通い始まったので、その話を教えたんだ。
気の強い子で笑い飛ばしてた。
だけど1ヶ月ほど後に会った時「あの話もうしないほうがいいよ」とたしなめられた。
彼女それを実際に試したんだ。
3階にさしかかったあたりからか細く、♪てんてんてんまり、と聞こえてきたそうだ。
空耳かと思っていたら、だんだん声が大きくなってきて、歌詞がはっきり聞こえてきてそれが♪てんてんてんまり手が落ちる、足落ちる、首落ちる、と歌ってるのに気がついた。
半分パニックで1階まで一段抜かしで駆け下りて一回の床に倒れこむように足がついた途端、まるでスイッチを切るみたいにピタっと歌がやんで、恐怖で泣きながら上履きのまま家まで走って帰ったと言っていた。
それで彼女は「足と首の方はもう治ったんだけどこっちはまだ残ってるんだ」といいながら手首見せてくれたんだ。
両手首をぐるっと取り巻くように、針金で締めたみたいな紫色のミミズ腫れのような細い筋がついていた。
その後すぐ、彼女は親の都合で地方に引っ越し、中学も最近廃校になった。本当だったのか彼女のいたずらだったのかは、今でもわからない。
出典:「死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?」
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9:トンカラリン助
:
2025/04/08 (Tue) 20:13:17
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ある日、少女は家の前で、今ハマってるバンドのライブチケットを拾った。
しかも、ネットで数十万円の高値で取引されたほど、入手困難なはずのプラチナチケットだ。
思わぬ幸運を手に入れて有頂天になる少女。
しかし、ライブが開催されるのは、彼女がバイトをしているファミリーレストランに団体客が来る日。
ダメ元で店長に頼んではみたが、人手不足で休むことは出来ず、結局、彼女が会場に辿り着いたのは、ライブが終わった後だった。
幸運からの不運の転落に落胆する少女。
諦めが悪いと思いながらも、せめて帰る前にライブの余韻だけでも味わいたいと、会場に足を踏み入れる。
すると、ライブ会場に妙な雰囲気が流れているのを感じた。
会場の中ほどの席の一つを警備員が取り囲んでおり、深刻な顔をしたスタッフ達も慌ただしい様子で、その座席について何かを話している。
あれ?
少女は目を丸くした。よく見ると、そこは彼女の指定席だったのだ。
なにかあったのだろうか?
気になってしかたなくなった彼女は警備員に声をかけ、座席を見せてもらった。
少女の座るはずだった席は、何者かに鋭利な刃物でズタズタに切り裂かれていた。
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10:トンカラリン助
:
2025/04/09 (Wed) 20:34:08
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少女は頭をシャンプーで洗いながら、開けたままの窓を閉めようと手をのばした。
水音と一緒に洗い流されるシャンプーの泡が目に入らないように、目をつぶったまま手探りで窓を探す指先に、毛の感触が絡みつく。
「こら、ミーコ! しっしっ!」
大声で叱りながら少女は窓を閉める。
そのままシャワーを終えて浴室を出ていき、悲鳴をあげた。
少女は猫を飼ってない。
窓の外にいた、誰かの頭に触ってしまったのだ。
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11:トンカラリン助
:
2025/04/15 (Tue) 21:09:09
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インターフォンの呼び出しチャイムに、「はーい」と返事をしながら玄関に走る。
ドアの覗き穴に目をくっつけようとした時、履き物に足を取られて身体がよろめいた。
その瞬間、ドライバーの尖端が覗き穴を突き破ってきた。
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12:トンカラリン助
:
2025/05/01 (Thu) 12:13:07
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ある朝、男が死んだ。
男は一人暮らし。
1Rの部屋で、昨夜はしっかり戸締まりをしてから眠りについたはずだった。
にも関わらず、
目を覚ますと裸エプロンだった。
「なぜだ」
下着すらまとわぬ裸身に、フリルの愛らしいエプロンを身につけたまま、思わず自問する男。
そのとき、
『知りたい?』
天井から男の声が降ってきた。
男は「ヒッ」と悲鳴をもらした。
知ってはいけない。直感した。
真実を聞けば最後……自分の中の何かが死ぬ。
「し、知りたくないっ!!」
『知りたくないのか?』
「そ、そうだ!!」
『そう』
「…」
『……』
「…………」
『……………』
『それは、ある朝のことでした』
「やめろおおおおおおおおお!!!!!」
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13:トンカラリン助
:
2025/05/01 (Thu) 19:23:04
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夜の2時、小学校の校庭にいるとチャイムが鳴る。
その時、教室の一つに電気が点き、いくつかの人影が窓から校庭を見回してくる。
その人影に見つかる前に、学校から逃げ出すか、校庭のどこかに隠れないと、教室にいるものたちが追いかけてくる。
その時に鳴るのは、給食の時間のチャイムらしい。
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14:トンカラリン助
:
2025/05/11 (Sun) 15:35:49
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あるカップルが、深夜のドライブ中、お遊びがてら心霊スポットに行った。
そこで、些細な事から二人は口喧嘩になり、怒った彼氏は、心霊スポットに彼女を置き去りにしてしまう。
数分後。冷静になるにつれて、
「こんな時間に心霊スポットに、一人で置いてきぼりにしたのは流石にまずい」
と思った彼氏は急いで引き返す。
心霊スポットに戻ると、そこには彼女の無事な姿があった。なにも無かったことに安堵しながら、なんとか和解出来た彼氏は、一緒に帰ろうと彼女を車に乗せた。
しかし、喧嘩したばかりで帰りの車内の雰囲気は重く、助手席の彼女は終始俯いたまま一言も喋らない。
さすがに気まずく思った彼氏が、なにか彼女の機嫌を直せる方法は無いか考えていると、
「ねぇ。あれ」
と、ふいに彼女が前方を指差した。
なにか見つけたのか?
そちらに目をやると、行く手の道端で、一人の少年がこちらに手を振っていた。
こんな時間に。道にでも迷ったのだろうか?
そう思った彼氏は車の速度を緩めながら、少年へと近づいた。
少年は笑顔で手を振っている。
だが、手のひらではなく、手の甲をこちらに向けて振っていた。
「あれはこの世のものじゃない!!」
それに気づいて戦慄した彼氏は、スピードを上げて少年の横を通りすぎた。
「こんな時間に一人で可哀想だよ。乗せてあげようよ」
なにも気づいてない様子で、彼女がそう言ってくる。
「ダメだよ。逆の行動をしていたから、あれは生きてる人間じゃない」
彼氏は答えた。
すると、
「へぇ、すごーい!! よくわかったね!!」
だしぬけに、満面の笑顔を浮かべた彼女が、とびっきり明るい声で言った。
手の甲をうちつけて拍手しながら。
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15:トンカラリン助
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2025/05/12 (Mon) 17:23:39
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これは、Aさん(仮名)が体験した怖い話です。
Aさんには、BさんとCさんという、とても仲の良い友達がいました。
当時はまだ携帯電話が普及しておらず、休み時間にこの三人で集まっては、昨日今日の出来事を中心にした話で盛り上がるのが、彼女たちの一日で一番の楽しみでした。
その日の昼休み、いつものように仲良し三人組でお喋りをしていた時、昨日見たホラー特集のことについて話しているうちに、プチ怪談大会が始まりました。
けれど、真っ昼間に、人の出入りが激しい教室で怪談をしても、いまひとつ盛り上がりません。
「ねぇ。今ここで怪談してもちっとも雰囲気出ないし、一度仕切り直して、放課後に怖い話をやらない?」
Aさんがそう持ちかけたところ、BさんとCさんも乗り気で大賛成しました。
そして彼女たちは放課後、誰もいない時間帯にこの教室に集まって、あらためて怪談をすることになったそうです。
その日の放課後。
三人は約束通り誰もいない教室に集まって、怪談大会を始めました。
そこで語られたBさんとCさんの話は、どれもAさんが聞いたことのない話ばかり。
どの話もとても恐ろしく、その語り口には、まるで実体験を聞いているような臨場感があったそうです。
しかし、Aさんは次第にBさんとCさんの話に引き込まれていき、気が付くと、日暮れ近くまで、怪談話で盛り上がっていました。
そして、時計の針が午後六時を回った頃。
「コラ! そこで何をしているの!」
Aさんたちは、見回りに来た先生に見つかってしまいました。
ちょうどその時、聞いていた話がまだ途中でしたが、
「もう遅いんだから早く帰りなさい」
と、Aさんたちは家に帰され、しかたなくその日は、そこでお開きになりました。
翌日。
昨日聞きそびれた話の続きが気になってしかたがなかったAさんは、朝一番に、先に登校していた友人達に話しかけ、
「昨日は良いところで邪魔が入ったから、今日は場所を変えてあの話の続きを聞かせてよ」
とお願いしました。
すると、不思議そうな顔をした友人達から意味がわからないと返されました。
お互いに話が噛み合わないので、昨日の出来事を話し合ってみたところ、
二人は昨日、教室でAさんが来るのを待っていたけど、全然来ないから学校中探してみたけど見つからないし、先生に居残りがバレて帰宅させられた。
きっとAさんも自分達より先に帰されたんだろうと思ってそのまま解散したから、怪談大会なんてやってないよ?
と、言われたそうです。
それを聞いたAさんは、きっと、二人が昨日の悪ノリで自分を怖がらせようとしているに違いないと思いましたが、二人とも頑なに嘘じゃないと言い張ります。
そっちがその気なら、と意地になったAさんは、昨日見回りに来た先生に、その時の様子を尋ねました。
すると、先生は少し神妙な顔をして、こう答えました。
先生が見回りをしている時、教室から声が聞こえてくるので、まだ居残っている生徒がいるなら注意しようと思い、教室の扉を開けてみたそうです。
そして、教室でAさんに出会ったところ、
「そこには、あなた一人しかいなかったわよ…?」
と。
この先生はとても真面目で堅物な人だから、さすがに、あの二人とグルになって自分を騙すはずはありません。
友人達が本当のことを言っていたんだと理解した瞬間、Aさんは顔色を真っ青にしながら、自分が置かれていた奇妙な状況に気づいたそうです。
そして、Aさんの中である疑問が次々と湧き上がってきました。
それでは昨日、一緒に怪談話をしていた、BさんとCさんに似た二人は、一体誰だったのか!?
そしてもし、先生が見回りに来なくて、あのまま遅くまで怪談を続けていたら、自分はどうなっていたのか?
と。
もしかすると、このAさんが体験したように、あなたの身近にも偽者が混じっていて、
次は、あなたが隙を見せるのを、じっと待っているかもしれません。
今、あなたのまわりにいる人達は…
本物ですか?
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16:トンカラリン助
:
2025/05/21 (Wed) 21:01:43
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一人暮らしで、合鍵あげてる彼氏も男友達もいないのに、トイレの便座が上がっている。
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17:トンカラリン助
:
2025/05/21 (Wed) 21:03:57
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深夜の車内に、降車ボタンの音が鳴り響いた。
運転してる自分以外、誰もいないはずなのに。
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18:トンカラリン助
:
2025/05/21 (Wed) 21:06:06
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通行量調査や交通量調査のアルバイトでは、たまに、人や車の数を他の人よりも多く記録してクビになる人がいる。
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19:トンカラリン助
:
2025/06/15 (Sun) 18:28:04
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「血女房」を知ってますか?
幸運の女神さまだと言われています。
詳細は不明ですが、民間に伝わる呪術の一種であり、茨城県には、今も「血女房」を所持している家があるそうです。
「血女房」は、赤い塗料の詰まった人形で、壺の中にいます。
その人形に、自分が憎んでる人間の名前を書き、包丁で何度も、何度も、力いっぱい突きまくります。
そうすると人形はバラバラ。壺の中は塗料が飛び散り、血だらけのような状態になります。
これで、「血女房」の完成です。
この呪術を行うと、「血女房」が相手に付きまとい、最後には、必ず自分の「願い」を叶えてくれるそうです。
A子は友達のB子を「血女房」で呪った。
自分の気持ちを知りながら、ずっと片想いをしていたCに告白したからだ。
最初の頃、B子に何も不幸の兆しさえ見えなかった。
しかし、ある日を境に、A子にだけ、B子の背中におぶさる黒い影が見えるようになった。
「あれが、『血女房』……」
不吉な影に悪寒で震えながらも、A子は口元に笑みを浮かべた。
自分の望みは間違いなく叶うと。
それから間も無く、その予感は当たった。
B子が病に倒れたのだ。
A子が様子を見に行くと、B子はやつれた様子でベッドに寝たきりになっていたが、空元気に笑ってお見舞いに来てくれた親友を迎えた。
けれど、B子のベッドの下には、以前よりもはっきりとした姿の「血女房」がおり、まるで今か今かと待ちかねるように、影の中からB子に手を伸ばしている。
もうすぐ死ぬな。
そう確信したA子は、ふと思いつきで、B子に嘘を告げた。
「B子には悪いと思ったけど、あたし今、C君と付き合ってるの」
A子の嘘に動揺するB子。それを見たA子は、
「精々悩んで苦しめ」
とほくそ笑みながら病室を後にする。
その二日後の夜、容態が急変して、B子は亡くなった。
教室でB子の机に花を生け、Cに彼女の死を告げるA子。
呆然として、B子の訃報を受け入れることが出来ないC。しかし、親友の死に涙を流し、自分の胸に泣きすがってくるA子の姿に、何も知らない彼は、優しく彼女を慰め続けた。
A子が密かに、冷たい笑みを浮かべていることにも気づかず。
「血女房」は本当に、幸運の女神だ。
勝ち誇った気持ちで、A子は思った。
B子を殺して、自分の願いを叶えてくれたのだから。
その頃、B子の入院していた病院では、病室の整理をしていた看護婦が、ベッドの下に妙なものを見つけていた。
それは、小さな壺だった。
壺の中は、溢れる真っ赤な液体にまみれて、まるで血の池のような有り様になっている。
そして、その中にはバラバラに切り刻まれた人形が詰め込まれており、その人形の胴体には、
「A子」
と書かれていた。
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20:トンカラリン助
:
2025/06/16 (Mon) 09:46:32
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俺、中学の時は不登校で、
(今はなんとか大学まで来れてもうすぐ就職だけどね)
中学二年から一年くらい学校に行かなかった時期があった。
なんか不思議な感じがする学校でね。
放課後、皆で教室で喋ってたら、
急に静かになって教室には誰もいない。
知らない間に自分ひとりなんだ。
なんというか・・・
朝から晩まで常に夕焼けみたいな感じがする雰囲気だった。
友達とかは全然そんなこと感じないって。
過疎化の進んだ村なんで昔っからの友達ばかりだし、
そんな悪戯されるってことはないだろうし・・・
こりゃ何かの病気?と思った自分は、
精神科医とか内科とか巡ったけど、異常はないって言われる。
ちょっとノイローゼ気味になった俺は、
学校に行きたくなく、仮病を使って引き篭もりを続けた。
けどね、俺が引き篭もってる間に、
後輩が自殺したんだ。
家は建て替えて、親も兄弟もいて、
特に苛められてるわけじゃなく、
ボケ担当的な人気のある後輩が。
なんかそれ以降かな?
学校の嫌な感じが微塵も感じられなくなって、
学校に行けるようになったんだよ。
自分の問題を後輩の自殺とくっつけるなんて、
どうかと思うけど・・・
まぁ今じゃその学校は、
生徒減少に伴い取り壊されてしまったんだけどね。
けど中学の友達と話すと、
俺が不登校の間に休んでることを、
「遠い世界へ行きました」
って説明で先生から伝えられてたらしい。
そんな説明で不登校の生徒に気を使うっていうのも疑問だし・・・
まして中学で。
なんだったんだろう、あの中学校。
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21:トンカラリン助
:
2025/06/16 (Mon) 10:12:48
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あだ名がミミズという、
小学校4年になる少年がいた。
あだ名の由来は彼の名前にもあったが、
性格にも関係していて、
引っ込み思案で弱弱しい少年だった。
風貌も薄茶色のTシャツの日が多く、
目は重々しい二重で少しギョロ目の細顔。
春に転校してきて、
早速他の男友達になじられる存在になる。
別に嫌われていたわけではない。
そんな彼を、
人一倍なじっているのが僕だった。
その頃の僕は、
いい意味で素直な性格、
悪く考えるとわがままな性格だった。
とりあえず自分が一番という・・・
大人になって考えるといやなガキ。
僕のような性格のやつとミミズが仲良くなるなんて、
誰が想像できただろう?
周りには友達はいたし、
別にミミズと二人で遊ぶ必要もなかった。
でも僕は、
なんとなくミミズが気に入っていた。
子供の時、
僕と似たような性格をしていた人には
わかってもらえるだろうか・・・
丁度いい子分になるような、
決して対等ではない友達。
よく話すきっかけになったのは、
やはり共通の趣味、
ガチャガチャ集めだろうか。
とある漫画関連のガチャガチャだったわけだけど、
少しマイナーで、話が通じたのは
ミミズが初めてだったわけです。
こうして日々半分は他の友達と、
半分はミミズと遊ぶようになった。
ミミズと遊ぶというと、
僕が勝手に提案したガチャガチャ競争が主。
どっちが先にシリーズを集められるか・・・とかいいつつ、
本当に嫌なガキの僕は、
平気でミミズから欲しいガチャガチャを横取りしていた。
ミミズは困惑した表情をすると、
苦笑いでそれを容認してくれた。
僕はいろいろと彼にわがままを突き通して平気でいたのも、
実は”遊んでやってる”という気持ちをもっていたからだ。
ミミズは自分から人の輪に入るのが苦手で、
こっちから話しかけないと来ないから、
しばしば一人になることが多かった。
ミミズ自身も、
別に1人でもよさそうだったけど・・・
えらそうな僕は、
もらうだけじゃ悪いからと、
はずれのガチャガチャをミミズに押し付けたりもした。
ミミズは目をキョロリと動かして、
「ありがとう」
ともらってくれる。
満足する僕・・・
僕「僕そろそろ家戻る」
他の友達「え?もう?」
僕「うん。ミミズが僕んちくる約束なんだ」
他「お前ほんとにミミズと仲よしだなー
あいつ話しかけても、
ギョロギョロしててよくわかんないよな」
僕「ミミズとは
***(漫画のタイトル)の話ができるからさ」
夕方になって空が赤くなる頃、
玄関に戻るとミミズが待っていた。
部屋で話しているとき
(僕がほとんど一方的に話してた)、
なかなかでてこないガチャガチャの話をしていると、
珍しくミミズが顔をあげて話し始めた。
「僕の兄ちゃん・・・それもってんだ」
「え!兄ちゃんも集めてるんだ!」
「うん・・・
今は受験のために集めるのやめてるけど・・・
かざってある。2個」
「!!」
興奮した僕は早速催促を始めた。
「2個あるなら1個もらってこいよ!」
いつにもまして困惑したミミズだったが、
僕は無理やりまるめこねて彼を説得し、
「じゃあ聞いてみる」
といわせることに成功した。
次の日、
見事にミミズは
幻のガチャガチャをゲットしてきた。
乱舞してる僕を見てミミズも満足してるようだったが、
急にまた目をギョロッとさせて、
「実は・・・
兄ちゃん昨日、友達の家に泊まって帰ってこなくて・・・
勝手に持ち出したから・・その・・・」
自分でも何をいっていいかわからないようだったし、
僕もそっか正式に持ち出したわけじゃないのか・・・と、
少し後ろめたさを感じたが、
すべてはミミズとミミズ兄の間のことであって僕には関係ないとして、
ただただガチャガチャをゲットしたことを喜ぶことにした。
1週間かしたか、ある日のこと。
すごく暑い日だった。
セミがうるさく鳴き始め、
僕もイライラしていた。
僕はセミの鳴き声は正直好きじゃなかったし、
その後の人生でも好きになることはなかった。
忘れられない1日の始まり。
教室に入って席にドスンと座ると、
ミミズが自分の席から立ち上がり、
珍しく僕のほうに自ら近づいてきた。
「おはよ・・」
言いかけたときに、
ミミズの顔が蒼白になのに気がついた。
「○○くん・・・
あのさ・・・兄ちゃんが気づいてさ・・・」
「2個あるなら1個くらいくれてもいいじゃん・・・
っていっといてよ」
いつにもなく強気で無礼な僕。
どうしてもそのガチャガチャを手放したくなかった。
「いや・・・それが・・・
1個しかなくなっちゃって・・その・・・」
「え?1個?2個あったんじゃないの?」
ごにょごにょ言うミミズからの説明を、
なんとか僕は理解した。
この間、
ミミズ兄がいない間にガラスケースからとったガチャガチャは、
僕用の1個ではなく2個だった。
ミミズも、
そのガチャガチャの中身をよくみたかったらしい。
しかし、
ミミズはそれをなくしてしまった。
なくしたのは、
なんとも早い次の日のことだった。
ミミズ兄はしばらく気づいていなかったが、
昨日ついに気づいてしまったらしく
カンカンだという。
なくしたことは告げてないものの、
とりあえず1個返せば
機嫌を直してくれるはずだとのこと。
ただガチャガチャを返せばいい・・・
なのに・・・僕は
どうしてもどうしても、
それを手放したくなかった。
もとはといえば、
ミミズ兄のものであるにもかかわらず。
僕は意味不明な理屈を重ねて
断固拒否の姿勢をとった。
ミミズはもう泣いてる。
ギョロ目が潤んで、
ひどく気の毒な顔になっていたのに・・・
「僕はお前にもらったんだぞ!
お前の兄貴にもらったわけじゃないし!
なんでお前の兄貴に返さなきゃいえないんだよ!」
「おねがいだよぉ~・・・
兄ちゃんイライラしてて・・・
すごく怒られる・・・」
「しらねーよ!
あー・・だったらだせばいいじゃん。
ガチャガチャいって」
「むりだよぉ・・・
そんなことわかってるくせに!」
キッとミミズが僕の顔をにらみつけた。
初めてミミズのこんな顔を見た・・
ミミズのくせになんなんだよ・・・
僕は顔をそむけて知らないふりをした。
しばらくミミズは、
僕の隣でたっていたようだが、
先生が入ってきて目線を戻すと、
ミミズは窓際に席に戻っていっていた。
「・・しらねーよ・・ほんと・・・」
あの、ミミズが僕を睨みつけた目が・・・
それが僕が見たミミズの最後の目。
そして顔。
朝あんなに晴れていたのに、
ものすごい夕立がきて、
車がスリップしミミズに激突した。
即死だった。
ガチャガチャのある店の前で・・・
僕に、初めてとてつもない罪悪感がのしかかってきた。
葬式の時にもまともに写真を見ることができず、
ひたすら心のうちで謝るばかり・・・
勘違いでもなんでもない。
あの日僕が返さなかったから、
ミミズは店のガチャガチャをやりにいったんだ。
わらにもすがる思いで!
そのときはねられたんだ!
それでしんだんだ!!
ミミズが死んだ!!!
僕のせいで・・・?
初めてづくしの一日だった・・・
初めて自分の行動を恥ずかしく思ったし、
初めて自分の性格というものを考えた。
そして何より、
初めてミミズの立場になってみたのだ。
ミミズはなんであんなに、
僕のわがままを許してこれたんだろう・・・
僕はあんなことされたら絶対怒るのに、
蹴りいれてるのに。
いらないガチャガチャなんて渡されても困るだけだし、
ずっと馬鹿にされたら・・・
自己嫌悪になりながら寝床について、
その日は電気を消した。
暗闇の中にガチャ玉が浮かんでた。
中にはあの幻の怪獣が入ってる。
ミミズの兄貴の・・・
でも今は僕のだ!
中の怪獣が叫び始めた。
小さい目のはずなのに、
なんだか大きく見えてきた。
おかしい。
こいつに黒目はないはずなのに・・・
キョロリと僕を睨んだのはミミズの目。
「まっくらだ!ここはまっくらだよぉ!」
青ざめて目覚めると、
すぐ横からコツリと音がして、
ガチャポンが落ちた。
夢の中のガチャポン・・・
ミミズから僕が奪った・・・!
僕は幽霊はいると信じていたから、
この偶然が偶然に思えなかった。
それから5日間ほど僕は似たような夢を見続け、
ミミズがすぐそばで睨みつけている感覚がどうしてもとれず、
日に日に食欲がなくなっていった。
家族はもちろん僕の周囲の人たちも、
僕の異変には気づいていたようだが、
大切な友達が亡くなったショックだろう、
と思って当然だった。
「・・・悪かったよ・・・許して・・・!」
何をすれば許されるのか考え続けていた。
そしてふと気づいた。
というか、
なんでそれまで気づかなかったのか。
夢の中でもガチャガチャがでてきてたじゃないか・・・
もしかして返せば、
ミミズも無事成仏してくれるんじゃないだろうか・・・と。
そんなことで許されるもんなのか・・・
でもとりあえず、
これはもともと僕のものじゃないんだ。
返さなきゃいけないんだ。
ミミズの家に呼びかけると、
ミミズ兄だろう人がでてきた。
意外とミミズには似てない目をしていたが、
表情をギョッとさせた。
というのも、
僕の顔が相当やつれていたらしい・・・。
「僕××(ミミズの名前)くんの友達です。
それで・・・これ・・・」
「・・・あ、これか。
あいつ・・・君に渡してたんだね」
「はい・・・あの、お返しします」
「いいよ。あげるよ。
最後に君にわたしたんだろ?」
「返します。
お願いです・・・お願いだから」
泣き崩れてしまった。
もう子供の僕には限界で、
全て話してしまいたくなって、
ミミズ兄に夢のことなど全て話してしまった。
ミミズ兄は長い間黙っていた。
「そうか・・・
そんな夢を見ちゃったんだね。
怖かっただろ」
「・・・当たり前なんです。
あいつにひどいこと沢山したし・・・!」
「でもさ、○○くん。
あいつは、そんなたたるような性格してないよ」
「・・・」
ああ確かに、
ミミズが人を恨んでたたるような性格には見えなかった。
「きっと夢とか××の気配とかもさ、
○○くんが自分を責めるから、
見えたり感じたりするんじゃないかな」
「・・・でも・・・」
「・・・それに実をいうと、
あんまり人には言ってないんだけど、
君には特別に教えてあげるけどね」
「はい・・・?」
ミミズ兄は声を潜めて話し始めた。
「俺霊感あるんだ。
親にも内緒にしてるんだけどね。
今君の周りにはなんにもいないよ。
もちろん××も」
「ほんとに?」
「本当さ。
いいか、結構幽霊とかって、
人の勘違いが大半なんだよ。
君は反省してるんなら、それでいいじゃん。な!」
僕は単純だったこともあって、
霊感があるという人が
『僕の周りに何もついていない』
というその言葉だけで、
スーっと肩が軽くなっていった。
それからの2、3日して、
僕はすっかり元通りになっていた。
好き放題に遊びまわり、
食べまくりもした。
変わったといえば、
少し前よりは思いやりという心が増えたはず。
あれは何日後のことだったか。
暑い晴れた日の放課後、
みんなで野原に囲まれた土の上でサッカーをしていた。
ミミズのことなど皆忘れていた。
僕も正直、もう切り替えていた。
これからは皆にあんなわがままはしない!
ボールが僕の頭上を大きく飛んでいった。
「とってくる!」
野原をかきわけていくと、
最近は遊びに使わなくなった小川が見えてきた。
思えばその頃から川が汚くなり始めていて、
皆臭いといって近づかなかったのだ。
ボールは川の一歩手前で止まっていた。
ボールを手にとると、
自然と濁った水面の中にあるゴロゴロしたものが目に付いた。
大量のガチャガチャ・・・
僕らが集めてたシリーズの人気のないやつ。
僕がミミズに押し付けた・・・
後ろに冷たい気配と冷たい感触が襲ってきて、
振り向こうとした時、
されるがままに、僕は川の中に突き落とされた。
川はあんなに日が照っていたのに、
ひどく冷たかった。
だがそれ以上に、
足元に激痛が走る。
そのとき、僕の足にひびが入ったらしい。
思ったよりも小川は深くて、
仰向けにのんびりしていたら溺れてしまうから、
必死で身をおこしていたが、
冷たいし痛いし、でも足が痛くて起き上がれなくて、
だんだん感覚がなくなっていった。
このままじゃ死んじゃう!
「だっ誰かー!!たすけてー!」
野原にはミミズが立っていた。
僕の体温はさらに下がっていった。
なんだ?これも幻覚なのか?
幻覚だから、
ミミズの髪がそよ風になびかないのか・・・
ふと僕は、
『僕はここにきちゃいけなかった』
と悟った。
ここはミミズの秘密の場所だったんだ・・・
なぜか頭の悪い僕にもわかった。
目の前に立っている無表情のミミズの気持ちが
よくわかる気がした。
背中を押したのは
きっとミミズだったんだろうけど、
そのときは必死だった。
「助けて!たすけて・・・
足が動かない・・・このままじゃしぬ!」
ミミズなら助けてくれるだろ・・・
いつもよくみたミミズの顔だ。
困ってるけど笑ってる顔。
ギョロ目を細くさせて・・・
今ではその目から涙をしたたらせて・・・
「ぼくはそんないいやつじゃないよ・・・」
ハハハハハとミミズが笑う途中で、
僕の意識は途切れた。
病院で母に、
あのガチャガチャを
ミミズ兄に渡してもらうよう頼んだ。
断れても絶対に渡すようにと。
それからは夢の中でも現実でも、
彼に会うことはなかった。
あれからミミズ兄とも会ってないが、
思うに、霊感があるといったのは、
僕を落ち着かせるためについた嘘だったんだろうと思う。
ミミズはやっぱり、
あのガチャガチャを返して欲しかったんだ。
あれから僕はだいぶ考え方がかわった。
まあ、まともな考えをするようになっただけ。
その後もミミズのような人間に会うが、
なんでもなさそうな顔をしている彼らも、
恨むということを知っている。
決して許してくれてるわけではないのだと。
僕自身も天狗にならないように気をつけている。
-
22:トンカラリン助
:
2025/06/16 (Mon) 10:26:53
-
小学3、4年生くらいの頃の話です。
「百物語をやろう」
と、誰かが言ったのがきっかけでした。
とはいっても、
1人で何十個も怖い話を知ってるわけもなく、
10名が1人10個ずつ話す事になった訳です。
私も必死で怖い話を覚えて参加したんです。
まあ100個と言っても、
似たような(ほぼ同じ)話もちらほら。
ローソクも2、30本ずつ立てて、
残り少なくなったらまた火をつける。
体育倉庫に忍び込んでやってたんで、
すごく狭かったんですよね。
私も話し終わり、
70話、80話と、どんどん進んでいったんです。
放課後から始めたので、
すでに日は落ちかけてます。
そして、
最後の人が100話目を話し終え、
ローソクを消す・・・
数秒の沈黙が恐怖をかきたてたのだけど、
何も起きず。
誰かが
「なんだよ、やっぱなんにもおきねーじゃん」
と。
私もちょっとだけ期待してたんですが、
まあこんなもんかとね。
大体、同じ話とか、
ローソクをいっぺんに立てないとか、
ダメな要素満点だったし。
でも、それまでのなんともいえない緊張感ってのが楽しかったので、
それなりに満足して、みんなして体育倉庫を後にしていく。
最後に私が体育倉庫のドアを閉めて振り向き、
なんとなく人数を数えたんですよ。
1、2、3・・・7、8・・・9・・・??9人?
みんな歩いていたし、
最初は数え間違えだと思ったんです。
みんなを呼び止めました。
「ちょっと!!」
あまりにデカイ声だったのでしょう。
みんな私のほうを振り向いて、
歩みを止めました。
私は無言のまま、
もう一度人数を数えました。
・・・やはり9人しかいない。
おかしい。
「なあ、誰か先に帰った?」
先頭のほうを歩いてた奴が答えた。
「いや、誰も帰ってないと思うぞ。
どしたん?」
私は正直、訳が分かりませんでした。
1人足りなかったんじゃないんです。
問題は、
1人足りないと思われる人が、
誰か分からないんです。
私は答えました。
「え?だって、10人でやってたでしょ?
いま・・・9人だよ・・・?」
みんな人数を数え始めました。
そして、みんなの顔色が、
目に見えて変わっていったのが分かりました。
そして、私と同じ疑問を口にしていました。
「なあ・・・誰がいなくなった?」
そうです。
確かに1人居なくなったのに、
それが誰だか思い出すことが出来ないのです。
その場の全員が。
誰かが言いました。
「今日は遅いから帰ろう・・・」
みんな無言で帰っていきました。
次の日からクラスには、
誰もいない席が一つ出来ました。
誰かいたような気はするが、
先生も含め誰も思い出せません。
名簿にも載っていませんでした。
1人の人間が消えたという事実が、
あったかどうかすらあやふやになってしまいました。
それから10年以上たちます。
今では百物語をやった事すら、
記憶から消えようとしています。
でも、たしかに最初はいたのです。
誰も覚えてません。
これからも思い出すことはないでしょう・・・
永遠に消えた、クラスメートの存在を・・・
-
23:トンカラリン助
:
2025/06/16 (Mon) 10:49:12
-
小学5年生の時のこと。
うちの小学校の音楽室は、
1人1台のオルガンが机代わりになっていた。
田舎の小学校だから、
かなりボロい旧型のオルガンだ。
音楽の担任はYという
少しキザで神経質な中年男性で、
ある時、このY先生が
「このあいだから、
誰も触っていないのにオルガンが鳴るんです」
と言い出した。
最初は生徒の誰かがイタズラしているんだろうと思っていたそうだが、
放課後に1人で音楽室で仕事をしていた時も鳴ったのだという。
それからしばらくして、
音楽の授業中にみんなで合唱していると、
Y先生は突然
「鳴ってる!」
と叫んで、ピアノの手を止めた。
確かに、
生徒全員が息をのんだ音楽室に、
静かにオルガンの音が響いている。
「シですよ、これはシの音です!」
とY先生はイライラした様子で言った。
やがて、
音楽の授業中にオルガンが鳴ると、
Y先生は生徒を全員起立させて両手を上げさせ、
生徒のあいだを歩き回って、
誰も触っていないことを確かめるようになった。
鳴るのはいつもシの音で、
全員がバンザイしている中、
古びたオルガンの音が静かに流れ続けるのは無気味な光景だった。
1人の男子が不思議さに耐えかねて
オルガンの蓋を開けようとすると、
Y先生は
「触らないで!見てはいけないもののような気がする」
と彼を止めた。
こういうことがしばらく続き、
翌年3月にY先生は自分から学校を辞めて行った。
退職理由は
「オルガンが鳴るから」
だったそうだ。
それからオルガンがどうなったのか、
記憶にない。
記憶にないということは、
Y先生の退職後はオルガンが鳴らなくなり、
生徒たちはいつしかそのことを忘れていったのだと思う。
その後、
自分は中学の時にY先生が体調を崩して療養中だと聞き、
成人式では
「死因はわからないが数年前に亡くなった」
と聞いた。
Y先生の死とオルガン事件を結びつけるつもりはないが、
最近になって、
誰も触っていないのにオルガンが自発的に鳴ることがあるのか
気になりだした。
ググっても出て来ないので、
知っている人がいたら教えてほしい。
-
24:トンカラリン助
:
2025/06/16 (Mon) 10:56:31
-
里帰りして昔話に花咲かしてたら、
面白い出来事を思い出したので投稿してみる。
僕が小学5年生の頃、
九州の方からKというやつが転校してきた。
当初は妙な方言を使っているという理由で苛められていたが、
小学生だけあってすぐに打ち解けた。
僕とYとDとKは特に仲良くなって、
毎日のように一緒に遊んでいた。
そんなある日、
近所の寂れた神社で暇を持て余してたら、
Kが「ヒモロギアラシをしないか」と提案してきた。
ヒモロギアラシと言われても、
当時小学生だった僕らは、
ヒモロギという言葉の意味すら知らなかったのだから、
当然チンプンカンプン。
「それはどんな遊びだ?」
とKに尋ねたところ、
「神様を探す遊びだ」
とのこと。
後で分かったのだけど、
K自身も詳しく理解していなかったらしい。
とにかくやってみようということになって、
Kにやり方を教わった。
手順は簡単で、
神社の境内でどんぐりを集めて、
そのどんぐりを神様の居そうな場所に土を盛って立てる、
というものだった。
さっそく僕らは境内を探し回って、
各々の場所にどんぐりを設置した。
僕は霊感とかそういうものには疎いので、
深く考えず木の根元に設置。
Yは
「神様なら社にいるだろ」
と社に設置。
Kは鳥居の脚付近に設置。
Dは腰を掛けるのに
丁度良さそうなサイズの苔むした岩の上に設置していた。
その岩があまりに厳かだったから、
なんとなく皆Dが正解のような気がしたらしく、
「Dいい場所みつけたな!いいな!」
とか言ってた。
それで、
「この後どうするんだ」
とKに聞くと、
「明日までこのままにしておく」
と言い出したので、
皆白けてかくれんぼして帰った。
次の日、
僕はどんぐりの事もすっかり忘れていたので、
早々に帰宅しようとしていたら、
Dに捕まって、神社に集合することになった。
一番期待度が高かったのに、
結果を見ず忘れ去られるのが、
Dにとっては不満だったらしい。
放課後。
神社に四人集まってから、
一つ一つを確認していった。
僕とYとKのどんぐりは何事もなく
そのままの姿で残っていたが、
Dのどんぐりだけは土が崩れて倒れていた。
K曰く
「どんぐりが倒れていたら正解だ」
とのことで、
Dは大喜びで、
「ほら見ろ!俺の勝ちだ!」
と誇らしげだった。
するとKがなにやら神妙な顔して、
「倒れたのを見たのはじめてだ。
今まではこんなことなかった。どうしよう」
とぶつぶつ言いだした。
不安そうなKを見て、
Dも先ほどとは一転して、
「もしかして俺なにかまずいことしたか?」
とオロオロ。
Kが
「実はこれ前の学校で、
危ないからするなって先生に言われてたんだ」
と言うと、Yが
「Dが正解したからって嫉妬してるんだろ」
とおちょくっていた。
僕はどうでも良かったというか、
その日はドラゴンボールの放送日だったので早く帰りたかった。
なんとなく気まずい空気の中、
その日は皆何事もなく帰宅した。
翌日、学校へ行くとDの姿がない。
朝礼が終わったあとに、
先生からDは病気で休みだと告げられたので、
昨日のことを思い出して不安になった僕らは、
Dの家へ見舞いに行くことにした。
出迎えた母親が予想以上に悲痛そうな顔をしていたので、
これはただ事じゃないとわかった僕は急に罪悪感に駆られて、
丁寧にもてなしてくれるDの母親の顔を直視できなかった。
言われるがままに二階のDの部屋へ案内され、
そこで見たのは、尻を倍ほどに腫らしたDの姿だった。
腫れの熱で意識が朦朧としてるのか、
Dは僕らの存在に目もくれず、うんうん呻っていた。
母親が言うには、
今朝起きた時には既にこんな状態だったらしい。
どうすることもできず、
僕らはDの家をあとにした。
帰り際にKが、
「俺のせいだ。Dは祟られたんだ」
と泣きそうな顔していた。
その後、Kが父親に訳を話したようで、
父親はしこたまKを叱りつけ、
Dの母親に謝りに行き、
神主を呼んで御払いをすると、
すぐにDの腫れは快方に向かい、
一週間後には学校に来れるようになっていた。
あとでKの父親から事情を聞いたDが教えてくれたのだが、
ヒモロギアラシは、
Kの前の学校で誰ともなく始めだした遊びらしく、
霊的な意味合いより、
設置した物を踏んで怪我人がでたので禁止されたらしい。
どんぐりに特別な意味はなくて、
境内にある尖ったものなら何でも良かったそうだ。
Kの尻の腫れも、
祟りだったのかどうか未だにわからない。
という思い出話で盛り上がってる内に、
その神社に初詣に行こうということになった。
Dは
「さすがにもう神様も許してくれてるだろ!」
と古傷を忘れたように軽快だったが、
石段で足を滑らせて思いっきり尻餅ついてました。
-
25:トンカラリン助
:
2025/06/16 (Mon) 11:03:02
-
23区内に住む友人の弟さんの経験談。
自分は友人から聞いた。
(典型的)
その地区の弟さんと同年代の男子は、
小学生時代のある一時期、
骸骨の男の子とよく公園で遊んでいたらしい。
『骸骨』は痩せ細った様の比喩でなく、
そのまま骨格標本の如き骸骨という意味。
ちなみに服は着ていたとのこと。
この手のものって、
創作にしても夕方以降に出るのがセオリーだと思うんだが、
普通に昼間遊んでたそうな。
放課後だから夕方に近いと云えば近いけど、
少なくとも誰そ彼時ではない。
で、その骸骨くん。
外見以外はごく普通の男の子で、
公園で遊んでいる間は、
子供達も特に恐怖を感じたりはしなかったという。
初対面時はぎょっとしたが、
何かこう、そういうものとして受け入れたそうだ。
そんな訳で、
骸骨くん出現後も、
子供達は公園に通い続けた。
が、何度目だかに、
日が暮れ始めたから帰ろうという時になって、
骸骨くんがもっと遊びたいと言い出し、
「親が心配する」
と断って帰ろうとする弟さんについて来てしまった。
そこで初めて弟さんは少し怖くなったらしい。
なんとなく家に入れたら不味いんじゃないかと感じたそうだ。
結局骸骨くんはマンションまでついて来たが、
急に家に上げることは出来ないと説明し、
弟さんはマンションの中に駆け込んだ。
入り口がオートロックタイプではなかったため、
部屋まで着いて来るのでは…と心配したが、
幸い杞憂に終わった。
ただ、自室に入る前に、
廊下からこそっと下を覗き込んでみたところ、
まだ入り口でうろうろしていたとの事。
そのマンションは入り口に、
防犯用の赤外線センサー?が取り付けられているそうで、
「どうもその付近から先には進めないようだった」
という話。
つまり骸骨くんは、
弟さんの迷惑を考えて入るのを遠慮した訳ではなく、
センサーに阻まれ“入りたいけど入れない”状態だったらしい。
夕暮れ時ってのもあいまって、
流石にその様子を不気味に感じた弟さんは、
その日初めて家族に骸骨少年の話をした。
友人一家は空想か何かだと思い、
その時は弟さんに適当に話を合わせたが、
いくらもしないうちに、
ご近所で同種の話を耳にするようになって驚いた。
弟さん以外にも、
骸骨少年について来られた子がいた訳だ。
ここに来てようやく怖くなってきた子供達が親に打ち明け、
その話を子供の想像力の産物と捉えた親が、
笑い話として他の親に話したり、
子供の怯えぶりを心配してご近所の父兄に相談したりして、
結果、
「何だかよく判らないが、
うちの子だけの空想話では済まないようだ」
という話になった。
勿論、大人達は子供の話をそのまま信じた訳ではないが、
とにかく子供達が怖がっているのは事実なので、
パトロールをしてみたり、
『こういう噂があります、
不審者に注意。公園で子供を遊ばせないように』
というようなチラシも、回覧板で廻された。
地元の学校でも、
公園で遊ばないよう児童へ注意があったという。
ちなみに、
目撃者・遭遇者は小学生以下にほぼ限られ、
当時中学生だった友人も、
「自分自身では見ていないし、
大人達の中にも見た人は居なかったと思う」
とのこと。
友人の知る限りという限定付きだけど、
骸骨少年について来られた子は、
ほぼ全員マンション住まいか、
閂つきの門扉がついてるお宅の子で、
玄関先まで来られてしまったパターンは、
幸いにして無いという話だった。
そういう家に住んでない子の例も少数あったらしいが、
知り合いの住むマンションに駆け込んで事無きを得たとか。
従って、
センサー・閂無しの場合や、
家に上げるとどうなるかは不明。
赤外線センサーがあると何故駄目なのかも不明だし、
そもそも、本当に赤外線センサーが駄目だったのかどうかも実際は不明。
また、骸骨少年は単に遊びたいだけのようで、
家に上げなかったことで、
その後恨まれた・危害を加えられた・霊障があったといった話は皆無。
正体も、公園との因果関係も、
その後出没しなくなった理由も不明。
結局、いつの間にか目撃談はなくなって、
自然と事態は収束したそうな。
一応当時の大人達の感触としては、
子供達の狂言とは思えなかったとの事だけど、
一種の集団ヒステリーだったのかなあ、という気もする。
(それか全部友人の創作か)
ただ何か、
夕暮れのマンションの前でうろうろする骸骨少年とか、
当たり前みたいに骸骨と遊んでて、
後からじわじわ恐怖を味わっただろう子供達の心境とか考えると、
ほんのり怖かったので投下させてもらった。
「不明部分は不明のまま、
こういう騒ぎが昔あったのだけは確かだけど、
見てないから骸骨話が本当かどうかは判らない…」
てスタンスで話してくれたので、
何か余計に怖かった。
友人曰く、
「地元民なら回覧廻ったくらいだから覚えているはず」
との事。
-
26:トンカラリン助
:
2025/06/16 (Mon) 11:25:28
-
俺が中学2年の頃の話。
当時俺のクラスでは
教室の後ろに「私書箱」というものが設置してあった。
授業の意見や改善点などを手紙に書いて入れる箱があり、
それを放課後担任のS先生が見て
参考にしたいという提案から置かれたものだ。
ある日、
その私書箱の「私」の部分が
「死」に書き換えられていた。
クラスではやんちゃ三人組だった
俺、Y、Dの誰かがやったんじゃないかと噂していた。
だが勿論俺はやってないし
YとDもやっていないとのこと。
結局犯人は見つからなかった。
数日後、
Yが放課後の教室で首を吊って死んでいた。
また私書箱からは、
「クラスのみんな、
今まで授業中うるさくしてごめんなさい」
という文面の遺書のようなものが発見された。
Yの葬儀から数日後、
Dが放課後の教室で首を吊って死んでいた。
そしてまた私書箱から
Yと同じ文面の遺書のようなものが発見された。
俺はなぜ親友の2人が自殺したのか検討もつかず、
とにかくショックを受けていた。
と同時に
あのクラスが不気味に思えて学校に行かなくなった。
ほどなくして俺は転校した。
新しい学校に通い始め、
新しいクラスにも慣れてきたある日の放課後、
家に帰りテレビをつけると、
ニュース速報が映し出されていた。
俺はそのニュースに目が釘付けになった。
前の学校が映っている。
…教師が自殺…?
「自殺した担任は殺害された少年2人の担任であり、
遺書には
「普段からうるさく、
言うことを聞かず、
いつも殺したいと考えていた」
と記されており…」
…YとDは自殺ではなく、
当時の担任S先生に殺されていたのだ。
そしてそのS先生が自殺した。
たまに怒られはしたが
普段は優しく若い女性の先生だった…なぜ…
と思うと同時に寒気がした。
転校していなければ、
もしかすると俺もすでに…
ガチャン
鍵をかけていたはずの玄関が開いた。
俺は恐怖でゆっくり後ろを振り向いた…
母だった。
「ただいまー。
何その幽霊でも見たような顔はー!
まあいいや、あんたに手紙来てたよ。」
ホッとした俺は宛名の書かれていない手紙を受け取り、
封を切った。
そこには全て赤い字で書かれていた。
「逃げ切れると思うなよあははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」
あれから15年経ったが
俺は精神を病み続け、
外に一歩も出られないでいる。
-
27:トンカラリン助
:
2025/06/16 (Mon) 11:30:30
-
自分が小学3年ぐらいの時の話だから所々曖昧だし、
担任から聞いた話だけど。
小学3年の時、
HRで担任がA先生がこの間学校であった出来事を話してくれた。
A先生は放課後、
自分のクラスでテストの採点をしていた。
すると教室の前を
生徒がスッと通って行ったらしい。
もう生徒もみんな下校している時間で
生徒の誰かが居るのはおかしいな?と思いつつも
帰るように注意する為にその生徒の後を追った。
しかしその生徒は声をかけても振り向かず、
さらに早いスピードで歩いていった。
(走っていたかな?)
A先生はおかしいと思いつつも
生徒を追いかけた。
するとその生徒が
とある扉のとこに入っていった。
A先生も追いかけてそこに入ろうとすると、
その扉の向こう側が無かった。
そこはたしか避難口で、
いつもちゃんと施錠されていた所。
しかも生徒の姿も消えていた。
A先生がいた階は4階で、
あと少し扉の向こうに行けば
落ちて死んでいたかもしれない。
この話はこれで終わりだけど、
身近でこんな本の中のような話があったことに
衝撃と怖さを今でも覚えてる。
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28:トンカラリン助
:
2025/06/16 (Mon) 11:37:30
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小学校6年生のときのことだから
もう10年以上前の話になります。
私の小学校は鉄筋でしたが
内装はすべて新木造といわれるもので、
やわらかい感じが
児童の心身にとてもよい効果があるという話でした。
実際にこれを採用した中学校では
生徒が荒れることも少なくなり、
小学校でも校内で転んでの大怪我が減ったそうです。
築後10年くらいだったと思います。
ただ木の塗装した表面が柔らかかったので、
爪でひっかくとわずかな力で彫れてしまうため、
いたずら書きは厳禁されていました。
それでも落書きをするワルガキは
後を絶ちませんでした。
クラス替えして
6年生になったばかりの4月のことです。
私は環境委員になり、
放課後の活動として
落書きを見つけたら紙やすりで消すという仕事をしていました。
これをやるとあちこち白くなりますが、
そこには後でラッカーのスプレーをかけるのです。
また、ひどい悪口などを見つけたら
先生に報告するのも仕事の一つでした。
この校舎は3階建てで、
3階が5・6年生、
1階が1・2年生と支援学級でした。
私とAさんBさんが6年生の委員で
3人でけっこうはりきって消してまわりました。
細かいキズは無数についていて、
それを全部消してしまうとあとの処理が大変なので
大きなものだけみんなで紙やすりでこすりました。
個人名が書かれた部分を見つけたら
そこに赤いビニルテープを貼って、
後で担当の先生に見せます。
あまりひどいのは
彫ったのが在校生とわかれば
書いた子が怒られることもありました。
小学生の女子はけっこうこだわりが強いので
隅々まで探しましたが、
活動は1時間くらいで終わりました。
先生に報告に行こうとしたら、
Bさんが
「まだ、屋上へ行く階段を見ていない」
と言い出しました。
屋上は立入禁止になっていて
ドアにはいつも鍵がかかっているはずですし、
その階段で遊ぶのは禁止されていたので
きっと落書きなどないと思ったのですが、
まだ帰りたくなかったのでいってみることにしました。
その階段は一般の階段より幅が狭く、
防火シャッターが降りて
封鎖できるようになっています。
踊り場もなく10段くらいで、
突き当りに屋上へ出る上半分が
すりガラスになった一枚ドアがあります。
階段は木製なのですが、
予想どおり調べても
ほとんど落書きも大きなひっかきキズもありません。
戻ろうとしたらAさんが
「あ、名前彫ってあるよ」
と大きな声でいったので見に行くと、
屋上ドアに近い手すりの部分に、
「もういくからね
みんなサヨナラ
マサミ」
と彫られていました。
薄いキズだったので
コンパスなどでなく
爪で彫ったのだと思いました。
よく探さなければ見つけられないようなものでした。
かなりホコリがたまっていたので
古いものだと思いましたが、
名前が出ているので
テープを貼り付けました。
その後、
委員会を担当している5年生の女の先生と一緒に
確認して歩きました。
先生は
「みんな頑張ってやったね」
とほめてくれましたが、
屋上への階段へ連れて行って
その落書きを見せると
「マサミねえ。
男か女かもわからないね。
5年生にはいない。
6年生にいる?」
と私たちに聞いて来ました。
私たちは各クラスから一人ずつ出てきているのですが、
マサミという子供はだれも心当たりがありませんでした。
先生は
「卒業生かもしれないね。
先生もこの地域に来てまだ2年目だからよくわからない。
後で長くいる先生に聞いてみるね」
と言い、
「それにしてもサヨナラなんて
なんか気持ち悪いね、
卒業するという意味なんだろうけど」
と続けました。
次の日も活動がありましたが、
Aさんが来ていません。
どうやら学校を休んだようでした。
その日は話し合いだけでしたので、
活動が終わったあと
先生に階段の落書きのことを聞いてみたら、
「・・・あれはやっぱり
卒業した子が書いていったみたいだね。
消しておきましたよ。
そんなに深いキズじゃないと思ったけど、
けっこう深く彫られてたね」
という答えでしたが、
なんだか話しにくそうな感じを受けました。
帰りにBさんと階段に行ってみたら、
きれいに削りとられて
厚くラッカーが塗られていました。
Aさんは次の日もお休みでしたので、
Aさんのクラスの担任の先生に尋ねると、
この季節には珍しいインフルエンザで
出校停止になっているとのことでした。
そして次の日Aさんは亡くなりました。
これは後でわかったのですが、
40度近い高熱で寝ている最中、
おかあさんがちょっと目を離したすきに
マンションの5階のベランダから飛び降りたのです。
次の日、朝集会で
校長先生からそれについてのお話がありました。
それから3日くらいして
Bさんが学校を休みました。
BさんとはAさんよりも親しく、
元気のない様子が続いていたので
とても気になりました。
そこで家に帰ってから
Bさんの家に電話をかけましたが、
ずっと留守でした。
夜10時過ぎ、
Bさんから電話がかかってきました。
Bさんは沈んだ声で、
「今日はお父さんとお母さんの入ってる宗教の施設に行って
ずっと拝んでもらってたの。
私、転校するかもしれない。
この学校にいてはいけないんだって。
それからね、マサミって子のことわかった。
8年前に学校の屋上から落ちて死んだ6年生の女の子だよ。
遺書もなにもなかったから事故にされたんだって。
でも、このこと忘れたほうがいいよ。
・・・来るから。
あの階段に行っちゃだめだよ。・・・
お母さんが怒ってるからもう切るね、さよなら」
これで電話は切れてしまいました。
そしてBさんは一度も登校しないまま
転校してしまいました。
新興宗教の本部のある都市に行ったと
後で聞きました。
それからは
その階段の場所へは近づかないようにしていました。
環境委員にはAさんBさんのクラスから
新しく選ばれた人が来て、
そのうちのCさんと仲良くなりました。
そしてそのCさんに
階段の話をしてしまったのです。
Cさんは活発な子で、
見てみたいというので、
学校にみんながいる時間なら
変なことも起きないだろうと思い、
昼休みにいってみることにしました。
階段のあるところに行っても
他の子どもたちのがやがやした声が聞こえてくるので
怖いという感じはしませんでした。
前に書き込みのあった手すりを見ると、
ラッカーが塗られた上に新たな文字が浮かんでいます。
「友だちができたよ
マサミ」
と読めました。
「えっ、これウソ~」
と私が言ったとき、
けたたましい音がして
非常ベルが鳴り出しました。
シャーンと音がして
非常シャッターが下り始めました。
「たいへん」
とCさんが言って
半分まで降りたシャッターをくぐり出ました。
私が下まで行った時には
もうくぐれない高さになっていました。
シャッターが全部降りると
非常ベルの音が小さくなり、
コツコツという音が背後からするのがわかりました。
振り返ると
屋上へのドアのガラスを
外側からだれか叩いています。
すりガラスに人の影が映っています。
やっとガラスに頭が出るくらいの背丈で
大人ではありません。
その人の右後ろにもう一つ影が見えます。
「・・・ここ開けて」
亡くなったAさんの声です。
それに重なるように
「あ・そ・ぼ・う・よ・・・」
別の声も聞こえてきます。
ガタガタと
ドアのノブを揺するような音がしてきました。
私はドアに背を向けて
階段の下のシャッターをガンガン叩きました。
屋上へのドアが開いた音がします。
思わず後ろを振り向くと、
逆光でよくわかりませんでしたが、
ねじくれたような人が
半分開いたドアから入ってこようとしています。
私は涙でびしょびしょになりながら
シャッターを叩き続けました。
「だれかいるのか」
男の先生の声がします。
「誤作動だ、今開けるからな」
シャッターがゆっくりと上がり始めます。
膝くらいの高さになったところで
身をかがめてはい出し
先生の手の中で泣き続けました。
シャッターが完全に上がったとき、
ちらりと階段を見ましたが、
屋上へのドアは閉まっており、
そこには何もいませんでした。
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29:トンカラリン助
:
2025/06/16 (Mon) 12:19:39
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俺が小学生だった時の話
俺は小学五年の時に
あるオカルトじみた事件に巻き込まれた
当時俺の小学校は校則とか色々甘くて、
携帯とか皆普通に持って来てた
んで、
ある日俺の近くの席だったAの携帯が
体育の時間中に盗まれたんだ
机の中にしまってあったらしいんだけど、
授業が終わって戻ってきたらなくなってたらしい
それでクラスの皆で教室の中を探したんだけど、
見つからなかった
そんな中、
何故かAの親友だったBが俺を疑いだしたんだ
理由は俺の席が近いことと、
あとはよくわからなかった
でもなんか
誰かに何かを吹き込まれたみたいな感じだった
お前が盗ったんだろ?って言うから、
違うって言ったら、
じゃあ机の中調べさせろとか言いだして、
かなりウザかった
でもまぁ、俺は犯人じゃないし、
見られて困るものもないから、
どうぞって言ったんだ
じゃあBが俺の机から鞄から全部ひっくり返して調べだして、
でももちろんAの携帯なんかなくて、
ほらやっぱりー的な空気になった
そんでその日の放課後、
俺は友達二人と一緒に帰った
でもその帰宅途中、
一緒だった二人と別れた後、
俺の体操服袋の中から電子音が聞こえたんだ
ピピピピピピピピみたいな感じ
んで、調べてみたら携帯が出て来たんだよ
さっき皆で探してたAの携帯が
鳴ってたのは携帯のアラームだった
何故に俺の体操服袋から?って思ったけど、
他にもおかしい所が二つほど・・・
まず、俺の体操服袋は
さっきBが調べてたんだ
ひっくり返して中身も全部出してたから、
さっきは携帯は無かったのは間違いない
もう一つのおかしいところってのが
アラームの設定時間だ
正確には忘れたけど
午後四時ちょっと過ぎくらいに設定されてた
普通こんな時間にアラームなんか設定しないよな
これってなんか
俺に気付かせる為に設定されてたみたいな気がした
んで、まぁ本当ならAに返しに行けばいいだけの話なんだけど
Bが俺の事疑ってたし、
このまま返却したらなんか俺が犯人みたいじゃんって思って
携帯見つけた俺は相当焦ったわけよ
その辺に捨てるのもなんかAが可哀想だし・・・
それで俺は一端学校に戻って、
Aの机に携帯をしまいに行こうと考えたわけだ
ほんで、とりあえず学校戻って、
職員室で鍵借りて、
自分の教室に行ったわけよ
でも、せっかく鍵借りたのに
何故か教室の鍵開いててさ、
おかしいなって思ったんだ
でもまぁとりあえず
Aの机に携帯戻して帰ろうとしたらさ
バンッ!っておっきな音が背後でしたんだよ
俺、
びっくりして振り返ったんだけど
誰もいなくてさ
そしたら別のところでまたバンッ!って音がして
そっち見たけどやっぱ誰もいなくて
そのうちあっちでもこっちでもバンッバンッ!ってすごい鳴りだして
ラップ現象っていうの?
そういう感じになって
何ていうか机を叩いてるような音だった
周り見たけど人なんかいない
でも音だけはすごい鳴ってんだ
小学生の俺はビビりまくって走って逃げたんだけど
無我夢中って感じだったから気が付いたら、
自宅近くの道路まで来てた
それで家の近くまで来たからちょっと安心してたんだけど
さっきまでの事を考えて、
あれってイタズラとかじゃないなー
完全にオカルト的な何かだなーって思ってたら
急に俺のポケットに入ってた俺の携帯が震えだしたんだ
その時俺は携帯マナーにしてたから、
バイブが震えただけだったんだけど
それでもちょっとびっくりした
でもそれよりびっくりしたのが着信の相手だった
Aからだった
さっき俺が教室に戻してきたAの携帯から着信が入ってたんだ
で、怖かったけどとりあえず出てみた
もしもし、って言ったら、
逃ゲテモ無駄ダヨ、
って女の人の低い声が聞こえて
直後に切れた
俺は怖くて、
携帯放り出して一目散に逃げた
まぁ、
その日は家で震えてたけど
その後何も起こらなかった
でも、次の日になって
なんかおかしな状況になってきた
次の日学校行ったら、
Aの携帯はちゃんとAの机から発見されてて
なんとなく事件は解決っぽい雰囲気になってたんだ
Bももう俺の事をとやかく言ったりしなくて、
俺もホッとしてたんだけど
昼休みくらいに
隣のクラスのCってやつが
わざわざ俺の教室まで来て俺に、
昨日携帯盗んだのお前だろ、
って言い出したんだ
正直もう勘弁してほしかったね
どうも前日に教室の鍵借りた時に
隣のクラスの担任に見られてたみたいで
それを何かの拍子に聞いたCがわざわざ言いに来たみたいだ
携帯が今日Aの机に入ってたのは、
お前が昨日戻しに来たからだろってね
携帯を盗んだのは俺じゃないけど、
戻したのは確かに俺だから俺も返答に困って
なんか結局俺が犯人みたいな感じにされちゃったのよ
その日はもういたたまれなかったな、
皆の視線が痛かったし・・
でもそれもその日だけだった
次の日、
何故か携帯を盗んだ犯人はCだってことになった
これは後から知ったことなんだけど
何でもAの携帯が盗まれた次の日もそのまた次の日にも
携帯の盗難があったらしい
それも同じ時間帯に
大体五時間目~六時間目の間くらい、
ちなみにAの携帯が盗まれたのもその時間帯
Aの事件の次の日には
六年生と二年生の携帯、合計二つ
その次の日には六年生の携帯がまた一つ
Aのも合わせると
合計四つの携帯が盗まれたんだそうだ
んで、なんでCが犯人かってことだけど
単純に盗まれた携帯をCが持ってたらしい
なんか別の人の机の中に忍ばせようとしてたところを
現行犯逮捕されたみたい
じゃあAの携帯もCが盗んだのかなー
って流れになってたってわけ
でも、最初に疑われて、
しかもあのラップ現象に遭った俺は
なんとなくわかった
Cも多分知らないうちに
携帯を所持させられてたんだろうなってね
だからCにそのことについてきいてみたんだ
そしたらやっぱりそうだった
俺を犯人呼ばわりした日の帰り際に、
携帯が二つランドセルに入ってたらしい
で、六年の方の盗難の話を知ってたCは
すぐに盗まれた携帯だって気付いたんだって
でも俺を犯人よばわりするような目立つ事してたから、
返しに行けなかった
それでCは携帯をゴミ箱に捨てて帰ったらしい
それ聞いて俺はコイツ最低だなって思ったけど、
まぁそれはいい
次の日学校に来たら
机の中に捨てたはずの携帯が二つとも入ってたんだと
びっくりしてCは
その携帯を今度はゴミ捨て場まで持って行って
わざわざ捨ててあるゴミ袋を開いて、
中に携帯を捨てて、また結び直した
しかも、二つ別々に
誰にも見つからないように、
こっそりやったらしいけど
帰り際にランドセルを開けたら、
また携帯が入ってる
しかも今度は三つに増えてる
パニクったCは、
そうだ!誰かに押し付けちゃえ、って思って
近くの席のやつの机に携帯を忍ばせようとしたら見つかってしまった
っていうことなんだ
事件は大体こんな感じ
オカルト要素少なくてすまんが、
俺は机叩く音だけじゃなくて
携帯が消えたのも超常的な何かが働いてた気がするんだよ
だって複数の学年の携帯をそんな連日盗めるか?
Cの行動をそこまで読めるか?
疑問なんだよなー
ちなみにそれ以来学校に携帯持ってくることは禁止になりました
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30:トンカラリン助
:
2025/06/16 (Mon) 12:26:32
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中学校の頃の音楽室での話。
音楽室の後方の壁に食器棚のような棚があって、
普段はカーテンがかかっているんだが、中を覗くと、
すごい古い誰かの手書きの楽譜とか、
完全に色が変色した古い教科書、
日付を見ると昭和34年とかの資料といった
どうやら授業ではもう使わないけど、
捨てるに捨てらんない系らしきもの?が色々入っていた。
右下が引き出しになっていて、
中にはやはり古いカスタネットや笛のようなもの、
あとボロッボロに錆びて完全にこげ茶色になっている
トライアングルが入っていた。
この音楽室には噂があり、
6時を過ぎてからこの音楽室で
この茶色のトライアングルを3回鳴らすと、
壁に貼ってある作曲家の肖像画の目線が
一斉に凝視してくるというものだった。
ある日、友人のAが女子達とこの話で盛り上がり、
すっかりテンション上がったAが、これを試して、
どうなったかあとで報告してやると言い出した。
一人でやっても証拠が無いからっつって、
Aと同じくバスケ部だった俺がどうしても一緒に行ってくれと言われ、
ついて行くことになった。
この音楽室には普通の教室と同じくドアが2つある。
黒板側と後ろ側。
後ろ側のドアのところは木琴と鉄琴が置いてあって
足の踏み場があまり無いんで、
授業で出入りする時も生徒は黒板側しか使わない。
後ろ側のドアは常時鍵がかかっている。
放課後、
音楽の先生が黒板側のドアは必ず鍵をかけてチェックするが
後ろ側しない。
コーラス部の人に頼んで後ろのドアの鍵を開けといてもらえば、
先生のチェックを逃れて後ろ側のドアを開け、
木琴とかもちょっとずらせば中に入れる。
そんなわけである日、
練習終わったあと中に進入。
初夏の頃だったので
6時でもまだ結構明かるかった。
俺ははっき言って怖かったので他の部員も誘いたかったが、
Aはそれをやると反対する奴が居そうでヤダというから結局2人っきり。
引き出しからトライアングルを取り出し、
Aが鳴らす。
チーン。チーン。チーン。
おそるおそる肖像画を片っ端から確認する。
どうやら変化は何もない。
3打目のトライアングルの残響も止み、
黒板のところの時計の秒針しかきこえない。
俺はこの雰囲気だけでなんか怖い。
音楽室の空気が
一気にずっしり重くなったような気がした。
Aは全然怖がってない。
「何も起こらないのかなー」
と顔に笑みを浮かべ、
さらにトライアングルを鳴らす。
チーン。4打目。
チーン。5打目。
俺はびびりつつAの様子をずっと見てた。
チーン。6打目。
6打目は唐突にAがトライアングルを手で握って音を止めた。
「出よう」
Aがトライアングルを席に置き、
俺の袖を引っ張りドアのところに引っ張って行く。
その顔に笑みは無い。
「どうした?」
「いいから」
俺はそこそこ強い力で
俺を音楽室から廊下につれ出された。
こいつは一体何を見たんだろうか?
音楽室からは出たのでもういいかと思って
「えっ、何、何、なんか出・・・」
「ちょ、(ヒーッ)」
Aは俺の『出た』という単語を止めたかったのだとわかった。
が、取り乱していて呼吸が整わず、
(ヒーッ)と息で音を立てただけだった。
怯えている。
まじでAが怯えている。
様子が尋常じゃないので、
俺はだいじょうぶだいじょうぶ、
どうってことねーってとか励ましつつ、
一緒に学校を出た。
そのままAには何も説明させず、
とにかく公園まで行った。
ベンチに座り、Aが落ち着くのを待つ。
ここからは学校は見えない。
音楽室にトライアングルを放り出して来てしまった。
Aはしばらく顔面蒼白で、
俺もどうしたらいいのかわかんなかったけど、
犬の散歩のおっさんが一人通り過ぎたのをちらっとAが見たので、
これをきっかけに聞いてみた。
「俺、何も気付かなかった。どの絵が動いたの?
ベートーベン?」
「・・・ビタワン」
「え?」
「だから、ビタワン」
黒板側の窓際には、
何やら書類の入った袋がいくつかあり、
そのうちの一つが何故か
ペットフードのビタワンの一番大きなサイズのビニール袋だった。
それにプリントされた犬の絵が目を真っ赤にし、
Aを凝視していたらしい。
これを聞いて、
家に帰ってから疑わしくなった。
Aは俺を怖がらして、
その様子を笑いにするために演技してんじゃねーかと思った。
次の日学校に行ったら、
俺がびびっていた様子を言いふらしてネタにするパターンか?と。
しかし次の日、
どうもAは誰にもこの話をしていなかった。
同行した俺のほうが
女子から昨日どうなったのと訊かれる。
やがてトライアングルを放置したことから侵入がばれた。
と言っても俺が一緒だったことはバレず、
職員室にAだけ呼ばれて怒られた。
その際、音楽室で見たことを全てAが話した上で、
Aの頼みで先生はビタワンの袋をやめて別の袋にした。
あれはもしかするとマジだったのかも知れない。
今俺は、ビタワンのデザインがちょっと怖い。
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31:トンカラリン助
:
2025/06/16 (Mon) 12:34:35
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私が高校2年生の冬に体験した話です。
当時私は部活などやっていなくて、
放課後にはいつも仲良しメンツ5人で集まって遊んでました。
その日は、冬+雨ということもあり
部活のある生徒以外はすぐに下校していたのですが、
ノリで5人でかくれんぼをしようってことになって
学校内(広すぎるためエリア制限はいくつか作りました)
でかくれんぼをすることにしました。
じゃんけんで負けたI君が鬼になり、
みんなバラバラに学校内に隠れたんです。
私はチキンだから
暗く人が少ない学校内で一人でいたくなかったため、
友達のAちゃんを探して一緒に隠れようと思いました。
ケータイで電話し、
どこにいるか聞いたところ
「2-Cに隠れてる」
と教えてくれたので、
すぐに2-Cに行くと
電気の消えた真っ暗な教室の奥に
Aちゃんが隠れてました。
外も暗くてお互いの顔もよく見えない状態で
ひそひそ話しながら隠れていました
私「かくれんぼ楽しいね」
A「うん」
私「でもちょっと怖いね」
A「うん」
私「…幽霊とか出てきそう」
A「(なんかつぶやいたけどきき取れない)」
暗くて良く見えなかったものの
その後Aちゃんは無言で私の方を向いていました。
すると、
いきなりガラッとドアが開き
I君が教室に入ってきました。
I「おっ二人みっけ!誰?」
A「やだー!暗い教室で二人きりとかやらしぃー笑」
???
一瞬意味がわかりませんでした。
今隣で一緒に隠れているはずのAちゃんが
I君の後にいたんです。
私はぞっとし
心臓はすごい早さで鳴っていました
A「電気つけるよー」
一瞬で教室内が明るくなり、
すぐに横に目をやると誰もいませんでした。
ホッとしたと同時に真後ろから
「いるよ」
と声が聞こえ
私はあまりの怖さに
急いで教室から逃げ出しました。
この話を4人にしたところ、
私がAちゃんに電話をした時、
Aちゃんは既に見つかっていて
私の電話はノイズのようなザーっとした音と途切れ途切れの私の声、
その私の声とかぶさるように
「い-れ-て」
というクリアな声が聞こえたらしいです
私的に1番怖い体験でした
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32:トンカラリン助
:
2025/06/16 (Mon) 12:40:08
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もう時効だと思うので書きます。
話の中に実在する固有名詞が出てきますが、
それを誹謗、中傷するものではありません。
小学四年生の二学期に、誰が持ってきたのか、
クラスで『うしろの百太郎』という心霊コミックが回し読みされ、
ちょっとたブームになった事がありました。
こ存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、その作中に、
妖精の存在を実証する方法が出てくるエピソードがあります。
具体的には、
寺社等の清浄な場所に生えている大木の根元に砂山を作り、
その頂上を平らに均して鏡を置き、
更にその上に薄く砂を被せておきます。
そして砂山の斜面に上り階段を作って一晩おくと、
翌日には階段と鏡に被せた砂の上に小さな足跡がついている、
というものです。
劇中でこれを行った主人公は、
悪戯な妖精に異世界(妖精界?)に引きずり込まれてしまいます。
十月の終わり頃だったろうと思うのですが、
クラスでも一二を争うヤンチャ坊主だったT君が、
果敢にもこれを試してみたと言い出しました。
T君曰く、
試した場所は彼の家の庭の一番大きな木の下という事で、
友人達は口々に
「それじゃあダメなんじゃないか?」
と言いましたが、
とにもかくにも結果を見るため、
放課後、六~七人くらい連れ立って
彼の家に行く事になりました。
(私を含め何人かは、
「学校に来る前に自分で足跡をつけてきていて、
皆を驚かそうとしているんだろう」と思っていました)
T君の家に着くと、
早速その庭の木の下に確認に行ったのですが、
当のT君が最も驚いた事に、
足跡どころか砂山自体がありませんでした。
予想外の展開に皆少なからず興奮し、
「これは妖精が消してしまったのだろうか?」
などと話し合っていた時、
T君のお母さんが現れ、
砂山は庭掃除で片付けられた事が判明しました。
また、砂山に埋める鏡を、
お母さんのコンパクトを壊して調達していたらしく、
T君はお母さんに怒られ、
私達は逃げるようにT君の家を後にしました。
翌日、翌々日と、
T君は学校を休みました。
そして次の日、
先生からT君が死んだと知らされました。
子供でしたので詳しい話は聞かされませんでしたが、
少し遠く(隣の学区)に大きなイチョウの樹がある神社がありまして、
T君はその樹の太い枝の上で死んでいたそうです。
洩れ聞こえてきた話を纏めると、
コンパクトの件で怒られた日の晩に、
その鏡を持って家を抜け出したようで、
抗議の意味で隠れていたのか、
登ったはいいが降りられなくなったのか、
とにかくパジャマ姿という薄着だったために
夜半の気温低下で衰弱死した
という事らしかったです。
大人には言いませんでしたが
(言っても取り合って貰えなかったでしょう)、
私達の間では、T君は今度こそ本格的に儀式を行い、
妖精の悪戯で死んだのだと囁かれていました。
なぜなら、
その神社は私達の普段の行動範囲の外にあり、
家出したからと言って、
そこに行く理由がありませんし、
行ったとしても、
そのイチョウの樹は幹が太くて枝も高く、
梯子でもなければ登れないからです。
既に真相は知る由もありませんが、
今となってはとにかくT君のお母さんが気の毒だったなと
思うばかりです。
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33:トンカラリン助
:
2025/06/16 (Mon) 12:44:37
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俺が小学生の時、
子供たちから「おかめおじさん」と呼ばれている人物がいた。
その人は、
毎日通学路の横断歩道に黄色い旗を持って立ち、
子供たちが安全に通学できるように注意する
緑のおばさんのような仕事をしていた。
そのおじさんの顔が、
ほっぺから下がふっくらしていて、
目が小さくて細く、いつも笑顔だったので、
うちの小学校の生徒達は、陰でおじさんの事を
「おかめおじさん、おかめおじさん」
と呼んでいたのだ。
ある日、
放課後に仲が良かった友達AとBと俺の3人で話していたら、
Aがこんなことを言い出した。
「昨日、町内のS公園の砂場の中から死体が出てきたんだって。
身元調べたら3年前に行方不明になってた
うちの学校の女子生徒だったんだ」
唐突にそんな話を聞いて、
俺もBもびっくりした。
でも少し興味もあった。
「でさ、その子の死体は
あちこち腐っててぼろぼろになってたんだけど、
特に顔がひどくてさ。
顔の皮全体が剥がされてたんだってさ」
死体の様子を想像して、
俺は身震いした。
Bも怖がって聞いてる。
すると、
続けてAがとんでもない事を言い出した。
「それでさ、
俺犯人はおかめおじさんじゃないかって思ってるんだ」
Aは自信ありといった顔をしている。
「え!?どういう事それ」
目を丸くさせてる俺とBにAが続ける。
「だって、
おかめおじさんが通学路に出てくるようになったのって、
俺らが二年の時だろ?3年前じゃん。
きっと、被害者の子供の皮をかぶって
顔を隠して逃げてるんだよ」
にわかには受け入れられないAの推理だったが、
俺も1つ気になることがあった。
おかめおじさんの表情は、“
ずっと笑ってる”というより
“ずっと変わらない”と言ったほうが
正確なほど不自然だったからだ。
「明日登校する時、
おじさんの顔確かめてみようぜ」
とAが提案し、
明日3人で一緒に登校する事にした。
次の日、
通学路の途中で待ち合わせた俺たち3人は、
おじさんがいつも立ってる横断歩道まで来た。
おかめおじさんは、
いつもの様に黄色い旗で子供たちを誘導したり、
車をとめたりしていた。
俺達が近づくとおじさんは
「おはよう」
と言って軽く頭を下げた。
Aは先頭で
おじさんの顔をジーと見ながらゆっくり進んだ。
続くBもおじさんの横を通る時
チラッと顔をのぞいて行った。
最後に俺も少し顔を上げて、
おじさんの顔を一瞬見てみた。
「チッ!!」
その時確かに舌打ちする様な音がハッキリ聞こえた。
おじさんの唇は動いてなかった。
俺は怖くなってすぐ顔を下げ、
振り返っておじさんの様子を見ることもできず、
足早に学校に急いだ。
次の日からおじさんの姿を見なくなった。
Aは
「やっぱり俺の言ったとおり、
死体が発見されたから逃げたんだ」
と得意気にみんなに話してた。
数ヶ月経って、
またS公園の近くに住む主婦が
行方不明になったというニュースを聞いた。
俺は、
おかめおじさんが今どんな顔になってるか
想像して寒気を憶えた。
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34:トンカラリン助
:
2025/06/16 (Mon) 12:52:48
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小学校の時の事です。
私の小学校は、
いわゆる「校内掃除」が放課後にある所でした。
教室で集めたゴミを、
外の焼却炉まで捨てに行く係だった私は、
その時も、普通にゴミを運んで行っていました。
冬だったので、裏口から外に出ると、
外がもう薄暗かったのを覚えています。
ぱんぱんになったゴミ袋を焼却炉に投げ込んで、
引き返し、歩いていたのですが、
後ろでガサゴソ、と音がしたので反射的に振り向きました。
見ると、焼却炉のそばに、
人が直立姿勢で立っていたのです。
驚きました。
たった今まで誰も居なかったはず。
しかし、薄暗くてよく見えません。
下半身の辺りは草で隠れていて、
トレーナーのような服の上半身だけがかすかに揺れています。
何がなんだかよく分からないまま、
数秒は動けずにいたのですが・・・
何気なく横に目をやると、
自分のすぐそばに、人間の下半身だけがありました。
本当に下半身だけ。
あまりの事に喉から変な声が出てしまいました。
衣服は、
ジャージのような感じだった気がしますが、
この辺は曖昧です。
下半身は、
腰の辺りから急激に細くなり、
焼却炉のほうに向かって、
ゴムのように伸びていました。
私は一目散に逃げました。
意味不明すぎる。
誰かに話そうとも思ったのですが、
うまく説明する自信が無かったのでやめました。
なので今まで、
この話を誰かに言ったこともありません。
また当時の焼却炉は新品同様だった筈なので、
そういう事に思い当たる節も無いのです。
あの下半身は、
あの上半身のものだったのでしょうか?
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35:トンカラリン助
:
2025/06/16 (Mon) 13:02:09
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小学生時代の話。
「体育館の地下に殺人鬼が棲んでる」
て噂が流行った。
そういう話に熱中していた俺、T、Sの3人組は、
さっそく放課後の体育館に忍び込んだ。
(当時体育館は空手などの習い事に夜間開放されていて、
クラブ活動が終わる夕方からしばらくの間、
施錠されてない時間があった)
舞台袖から階段を下りると、
古ぼけた椅子が山と積まれた地下がある。
こんな場所を懐中電灯の光だけで歩く時点で、
小学生には十分な肝試しだ。
とはいえここは
学芸会などでも使用してる場所で、
噂では、
「この場所に隠し通路が存在し、
先に地下2階がある」
と続いている。
俺たちは隠し扉を発見すべく、
協力して椅子の山を崩す作業に取り掛かった。
買い込んできた駄菓子なんかを食べて休憩しつつ、
まあ秘密基地ごっこみたいな気分で。
二時間くらいやってただろうか。
もちろん扉なんてある筈もなく、
習い事の連中がくるタイムリミットも近い。
無駄骨に終わりそうな気配が見え始めたころ、
S君が声をあげた。
「こっち来て。この向こうの壁、なんか書いてある」
見ると、
確かに椅子の隙間から見える向こうの壁に、
赤い線が見える。
興奮した俺たちは、
ほとんど投げるように椅子をどかしていった。
果たして現れたものは、
なんてことのないただの落書きだった。
星型を逆さにして歪ませたような訳のわからない図形が、
ペンキのようなもので書いてある。
しかしこの発見に舞い上がった俺たちは、
「アレは殺人鬼が書いたんだ」
「殺した人の血だ」
なんて話をしながら、
この探検で味わったスリルと、
一応の成果が出たことに満足して、
帰路についた。
その夜。
夕食後、
だらだらしているとS君から電話があった。
「ヤバイよ!俺、もう死ぬかもしれない!」
錯乱した口調でわめき散らしている。
携帯なんかない時代だ。
夜、子どもが家に電話してくるだけで深刻な事態だった。
「家の前に赤いヒトがいる!
周りをうろうろして、入ってこようとしてる!」
「親に言っても相手にしてもらえない。
というか、視えてないみたいだ」
「赤いヒトは2mくらいあって、
目鼻口がないのっぺらぼう。
動きは緩慢だけど、
なんかおいでおいでをしてるような動作をしてる」
S君の話をまとめると、
おおむねそんな内容だった。
急に怖くなった俺は
トイレの窓から階下を眺めたが、
そこには何もいない。
どこまで信じたものか図りかねるまま、
俺はS君をなだめて電話を切った。
翌日からS君の様子が変わった。
神経質にびくびくしながら、
常に周囲を警戒している。
俺と、昨夜同様に電話を受けていたT君は
より詳しく話を聞こうとしたが、
「赤いヒトがいる。今もどこかにいる」
そう繰り返すだけで、
イマイチよく解からなかった。
俺たちはS君を気遣いながらも、
出来ることなんてひとつもなかった。
日に日に彼の状態は酷くなっていった。
授業中や休み時間、
ハッとあたりを見回したり、
小さく悲鳴をあげることが多くなった。
「いま、赤いヒトが校庭にいた」
「赤いヒトが隙間から覗いている」
後で話を聞くと、
必ずそんな答えが返ってきた。
見えないものは信じにくい。
あるいは子どもの飽きやすさか。
こんなS君を最初は心配していた俺らも、
何日か続くうち、
彼の言動にうんざりしてきた。
そうして少しずつ周囲と距離が出来始めたある日、
S君がまた悲鳴をあげた。
「おまえ、赤いヒトと重なってる!」
クラスの女子のひとりを指差し、
そう叫んだのだ。
授業中に暴れて逃げ出すS君。
先生は怒り出し、
女子は泣き出し、
阿鼻叫喚だった。
…俺とT君は、
この日を境に彼から距離を置こうと決めた。
その数日後、
指差された女子が交通事故に逢った。
全治一ヶ月。
S君はその報を聞くと貧血を起こし、
学校を早退した。
そして一週間、
学校に来なかった。
(親同士の噂で後から聞いた話、
神経衰弱で入院していたらしい)
オチが尻切れトンボみたいで申し訳ないが、
その後戻ってきたS君と俺たちはほとんど話をしなかった。
彼は元の明るさを取り戻しており、
「赤いヒト」の話はタブーに思えたから。
後に先生に聞いた話で
「学校が元は火葬場だった」
といった話もあるが、
直接の関係はわからない。
ただ、T君から一度だけ、
その話をS君に振ったと聞いた。
「赤いヒトって、まだ視えるの?」
S君は曖昧に笑って、答えたと言う。
「うん、いる。でもアレはもう招かないし、飲み込んだから」
最後まで、訳の解からないことだらけだった。
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36:トンカラリン助
:
2025/06/16 (Mon) 13:13:33
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僕が、小学校の頃のはなし。
通学路から少し外れたところに
さくら池という、かなり大きい農業用水池があった。
僕たちが住んでいた団地は、
さくら池の先にあったから
下校途中、大きく迂回する通学路をはずれ、
そのさくら池のほとりを通る近道を通って帰るのが常だった。
大人たちに見つかり、学校に通報されると、当然、叱られる。
昼でも暗いような竹やぶを抜け、
赤土むき出しの切通しをくぐり、
池の土手の未舗装の道を行くそのルートは、人通りも無く
いろんな意味で、やばい感じがしたけど、またそれが魅力だった。
五年生の秋口の頃、そんな僕たちの学校に、奇妙な噂が広まった。
日が暮れてから、その近道をあるいていると、
さくら池の真ん中あたりに、
火の玉が浮かぶというものだった。
いつの間にか
「その火の玉を見つめてはいけない」
という警告も加わっていた。
その警告の出所は、地元の生徒のおじいちゃんや
おばあちゃんらしい。
親の代に越して来た僕ら団地の住人には、
今ひとつピンと来なかったが、
地元の生徒は近づかなくなった。
きっと僕らの知らない、
古い言い伝えでもあったのかもしれない。
僕自身、その火の玉をはっきり見る事はなかった。
確かに、下校が遅くなった時に、
夕暮れの土手から、暗い湖面を見下ろすと、
真ん中あたりに、薄ぼんやりと白い霧のようなものが
見えた気がしたことはあったけど、はっきりとは確認していない。
やっぱり、それを見つめることは、怖くてできなかった。
ある朝、同じクラスで同じ棟の五階に住むシゲルをさそうと、
シゲルのかあさんが、彼は具合が悪くて学校を休むからと言った。
放課後、シゲルに宿題のプリントを届けると、
共働きだったので、シゲル本人が、ドアに姿を現した。
目が血走っていた。
とても具合が悪そうに見えたので、
僕はすぐに帰ろうとしたが、シゲルに引き止められた。
彼のベットに並んで腰をおろし、シゲルの話を聞いた。
夕べから、眠っていないこと。
そして、シゲルは、さくら池の火の玉を見つめてしまったらしいこと。
すると、薄ぼんやりした火の玉が、はっきりと形をとりはじめ、
ドッジボール大の球形の発光体になって、甲高い金属音をさせつつ、
シゲルに向かって飛んで来たらしい。
足がすくんで逃げられないシゲルの、
1メートルほど前方に、空中静止した火の玉は、
白い光を放ちつつ、実は透明な物体で、
そして、その中に、気味悪く痩せた小人が、しゃがんでいた。
さらに目の前に近づくと、その小人が立ち上がり、
シゲルむかって切れ目だけの口をしきりに動かし、
何かを語りかけてきたという。
しかし、周りに響くのは、例の聞いた事も無い金属音だけで、
そいつの声は聞き取れず、しばらくして
火の玉は池の対岸の方まで飛んで行き、
ようやく見えなくなったという。
シゲルは怯えて、最後に
「どこにも行きたくない」
といった。
僕も心底恐ろしくなり、
シゲルのかあさんが帰って来たのをいいことに、
そそくさと、シゲルの家を立ち去った。
それから、二週間もしないうちに、
シゲルの家族がいなくなった。
学校では急な家庭の事情で済まされた。
団地では、たぶん夜逃げだということで落ち着いた。
奇妙な事があった。
当の夜逃げした夜、シゲルのかあさんが、
団地のベランダから外に向かって、
シゲルの名前を何回も呼ぶ声を聞いた人が、たくさんいた事だ。
僕は、それ以来、さくら池には近づいていない。
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37:トンカラリン助
:
2025/06/16 (Mon) 13:17:47
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学校の外トイレなんですが、
ある日掃除当番の子どもたちが掃除をしたがらなかったのです。
理由を聞いてみると
「今日はカヨちゃんが死んだ日だから」
の一点張りでした。
「カヨちゃんって誰?」
と聞いてもハッキリとした答えが帰ってきません。
ただ、「カヨちゃん」という子が
亡くなったということしか分かりませんでした。
話が話だけに他の先生方に聞くわけにもいかないので
放課後こっそり調べようと思いました。
しかし放課後予定より雑務があり、
辺りはだいぶ暗くなってしまいました。
恐いし、もう調べるのはやめようとも思いましたが、
今日が「カヨちゃん」の命日ということなので、
今日しか調べる日はないと思い、
ビクビクしながら外トイレに向かいました。
外トイレには鍵がかかっていました。
ちょっと変でしょう?
外トイレは校舎からも独立しているので
鍵なんてかけなくてもよさそうなのに。
でも鍵がかかってます。
侵入できるところを探すと、
どういうわけか窓が全開でした。
「入り口は鍵をかけたのに、物騒だな・・・」
そう思いましたが、そこから何とか中に入れそうだったので
よじ登って入ることにしました。
女子トイレです。
別の意味でちょっとドキドキしました。
暗いと言ってもまだ真っ暗ではありません。
薄暗い中でひときわ不気味な個室を見つけました。
ドアノブが鎖で封鎖されていたのです。
ここにカヨちゃんの秘密があるに違いないと思い、
ドアノブを足がかりに上から覗いてみました。
上から覗いても暗くて何も見えませんでした。
それでも次第に目が慣れてくると、
闇の中に白い和式便器が浮かんで見えました。
でもそれだけです。
厳重に封鎖されていた個室は不気味でしたが、
他には何も見えませんでした。
俺も怖くなってきたので帰ろうと思い、
ドアノブから降りました。
窓のほうに向かおうとした、まさにそのときです。
封鎖されている個室のドアが、
ドンドンドンドンドンドンドンドン!!!!!
と鳴り始めたのです。
内側から誰かが叩いているようでした。
俺はビックリして大声を上げて窓にしがみついて、
外に落っこちるようにして脱出しました。
外に出てからも
ドンドンドンドンドンドンドン・・・・・・
という音はずっと聞こえていました。
怖かったのと他の先生に見つかるのもやばいので
その場はすぐに逃げ出しました。
家に帰ってみると額と肘から出血してました。
窓から落ちたときに怪我をしたようです。
カヨちゃんのことは怖くてまだ詳しいことは聞けません。
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38:トンカラリン助
:
2025/06/16 (Mon) 13:22:13
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私がいた小学校であったお話らしいです。
この学校にいたA君は、運動が苦手でした。
その中でも鉄棒が大の苦手で当然体育の授業は大嫌いでした。
そんなある日、体育の時間逆上がりのテストが行われることになりました。
その日からA君の特訓が始まりました。
休み時間はもちろん、放課後も遅くまで残って一人で練習を続けました。
始めは笑っていた友達も、
彼のひた向きな姿を見て練習に付き合うようになりました。
が、何日たっても逆上がりはできず、
そのうち友達もあきらめてしまい、
再び一人で練習を繰り返していました。
でも彼はあきらめませんでした。
そして彼の努力は実を結びテストの前日、
ついにできるようになったのです。
当日の朝ははりきって家を出たといいます。
当然といえば当然でしょう。
ところが彼を思わぬ悲劇が襲います。
青信号を渡っていた彼は居眠り運転のトラックに
轢かれてしまいました。
遺体の損傷は激しく、首はちぎれ飛び家族でさえ
目をそむけたといいます。
その日の夜からです。
校庭に彼が現れるようになったのは。
何人かがその影を目撃しましたが、
正体は全くつかめませんでした。
鉄棒付近に何かがいるとしか・・・。
ある夜、用務員が校庭を見回っているときに
それは正体をあらわしました。
鉄棒付近に何らかの影を見つけた用務員は
恐る恐る近づきますが、暗くてよくわかりません。
そこで手にしていた懐中電灯を
思い切って影のある方向へ向けてみたのです。
その光の中に浮かび上がったのは!
血走った目を大きく見開いたA君の生首が、
口で鉄棒をくわえグルグル回っていたのです。
よほど強く鉄棒を噛んでいるのか、
口はもちろん歯まで血に染まっているのです。
半狂乱になった用務員は
そのまま学校を去ってしまったということです。
A君のクラスの全員が集まり、
鉄棒の近くで線香を焚き冥福を祈ったところ
その影は現れなくなったといいます。
よほど見てほしかったのでしょうね。
逆上がりを。
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39:トンカラリン助
:
2025/06/18 (Wed) 14:06:08
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三本足のにわとり
KFCの経営者の子供に鶏を描かせると、足が3本ある鶏の絵を描くらしい。
(フライドチキンの都市伝説が流行った頃に流布した噂)
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40:トンカラリン助
:
2025/06/18 (Wed) 14:40:22
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目のないキティ
東京都内の女子高生たちの間で、キティのプリクラが大人気だった頃の話。
ある少女が、渋谷のゲームセンター「P」のプリクラで撮影したところ、おかしなものが撮れた。
フレームのキティに目が写っていなかったのだ。
目のないキティなんて可愛くないし、気持ち悪いと思ったが、機械の故障だろうと友人達は大して気にせず、彼女も「ツイてないな」としか考えなかった。
ところが、その数日後。思わぬことが起きた。
少女の目の具合がおかしくなったのだ。
授業中に先生に指されて黒板の字を読もうとした彼女は、突然、「見えない」と叫んでパニックを起こし、保健室に運ばれた。
眼科医にも診せられたが、少女の視力はどんどん下がる一方で、誰も治すことも原因を見つけることも出来ない。
少女の撮ったプリクラに何か関係があるのではないかと思った友人達は「P」に行ったが、どこを探してもキティのプリクラなんて見つからない。店員に聞いても、「うちの店でその機種は置いたことがない」という答えが返ってきた。
結局、そのプリクラと目のないキティはなんだったのかもわからないまま、少女の目が良くなることはなく、眼鏡を手離せないまま、失明寸前の生活を強いられることになったという。
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41:トンカラリン助
:
2025/06/18 (Wed) 19:50:36
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青坊主
昭和10年代前半、山形県の山沿いの小学校のトイレに現れたという妖怪。
便器の下から真っ青な頭の坊主が顔を出し、トイレに来た子供を睨んでくる。
福島県の小学校のトイレにも現れ、当時の生徒たちは先生の付き添いなしでは怖くて用を足すことが出来なかったという。
また、年代は不明だが、ある学校では男子トイレの和式便器の中から真っ青な坊主頭の男の子が顔を出し、「ニタァ~」と不気味な顔で笑って子供を脅かすという。
「青坊主」という名の妖怪は日本各地の伝承に登場し、鳥山石燕の「画図百鬼夜行」にも一つ目の大入道の姿で描かれている。
(どんな妖怪かの詳細は不明だが、姿格好の様相と、青の『青二才』という意味から、修行不足の生臭坊主を当てつけで妖怪として描いたという説がある。)
長野県
ある松の木の下を、息を止めて七回りすると青坊主が現れ、「石踏むな、松折るな」と告げる。
かつて、とある淵に棲んでいた主の大鯉が、人間に生け捕りにされそうになったために大暴れを始め、村人たちが大鯉を鎮めるためにこの松の木を植えたという。
静岡県
麦の葉が青い季節(春)、日が暮れた頃に、帰りが遅くなった子供が麦畑を走っていると、麦の中から青坊主が現れてその子を攫う。
そのため、春の日暮れに子供を畑に出さないようにという謂れがある。
岡山県
青い身体、もしくは青い服を着た大坊主の妖怪が空き家などに出る。
山口県
人に相撲を取ろうと誘う小坊主。見かけに油断して勝負に挑むとあっという間に放り投げられ、命の危険さえある。
山の神が化けた姿だと言われている。
香川県
女性の前に青坊主が現れて、「首を吊らんか?」と声をかける。断れば消えてしまうが、何も言わずに無視した者には襲いかかり、気絶させたうえ首吊りにしてしまう。
民間伝承に登場する青坊主は、上記の伝説数話のように姿も性質も地域や話によってバラバラであり、
和歌山県日高郡みなべ町のように大きな坊主の姿とされることが多いほか、なにか大きな人影のようなもので現れるという説もある。
岐阜県や広島県などの地方では狸、福島県大沼郡金山町ではイタチが化けた僧形の妖怪だとされており、
詳細は不明だが静岡県榛原郡にも青坊主の話がある。
また、江戸時代後期から大正時代の中頃にかけて流行した「妖怪かるた」の、「るすの間に出るばけ物」という絵札に青坊主が登場している。
人がいない家、留守番をしている家に現れる妖怪として描かれており、起源や詳細は不明だが、岡山県の「空き家に出る青坊主」が基ではないかと思われる。
学校の怪談に登場する青坊主の正体については不明だが、「学校の立つ場所が処刑場の跡地だった」という由来が一緒に語られることと、
「屎泥処(俗に言う糞尿地獄)などの地獄から抜け出した悪霊は、神社などの聖地を嫌い、厠などの不浄な場所を好む傾向がある」
という説から、「処刑された罪人の霊」ではないかと考えられる。
しかしもう一つ、「便所に現れる入道(坊主)」という点で、「加牟波理入道」という妖怪との関連が深いという見方もある。
加牟波理入道は「厠神」の一種であり、「大晦日に厠で呪文を唱えると現れる、または呪文が魔よけか禍のもとになる」と言い伝えられている。
多くの伝承や俗信では、「窓から便所の中を覗く」、または「姿を現さずに怪異を起こす」とされているが、
その中の一つ、「甲子夜話」に著された話には、
「丑三つ時に厠に入り、『雁婆梨入道(がんばりにゅうどう)』と名前を呼んで下を覗くと、入道の頭が現れる。
その頭を取って左の袖に入れてから取り出すと、入道の頭はたちまち小判に変わる。」
という記述があり、この話の怪異の部分に青坊主のルーツを感じてしまう。
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42:トンカラリン助
:
2025/06/18 (Wed) 22:11:24
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時報
これは、一昔前の時代の怪談です。
Mさんという人が、アパートで一人暮らしを始めた時に、買ったばかりの時計の時間を合わせようとしていました。
補足ですが、この時代にはまだ携帯電話などは普及しておらず、正確な時間を知るには、時報を聞くのが手っ取り早かったそうです。
Mさんも時報を聞きながら、時計の針をその時刻に合わせようと117に電話をかけました。
すると、急に、
『ザァアアアアアアア――!!』
というノイズが走り、
『あと、○時間×分□秒後に、
あなたが死ぬことを、お知らせします』
と、無機質な女性の声がそんなメッセージを告げて、電話が切れてしまいました。
Mさんは、しばらくの間呆然としていましたが、かけ間違いでもしたのかと思い、もう一度117にかけ直しました。
すると、今度はちゃんと時報に繋がり、時間を合わせることが出来たそうです。
翌日から、Mさんはその不思議な出来事を友人や知人に話し回りました。
ですが、本人もふくめてただの怖い話の一ネタとしか思っていなかったので、誰も本気にはしていませんでした。
しかし、その不思議な出来事の一週間後。
Mさんは、交通事故に遭って亡くなりました。
そのMさんの死亡日時から逆算したところ、あの予告された時間の日数と、ほぼ一致していたそうです。
皆様も、どこかに電話をかける時。もしくは、電話がかかってきた時には、くれぐれもご注意ください。
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43:トンカラリン助
:
2025/06/19 (Thu) 13:39:19
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トムヤムクン
真夏の日、会社員のIさんは、都内の有名なエスニック料理の店に出かけた。
グルメを自称する友人二人を連れて向かった先は、築30年ほどの古いビルの二階にある店。
どことなく油気でギトギトしている狭い階段を上り、意外と広い店内にたどり着いた三人は、まずは東南アジアで美味しいと評判のシンハービールで乾杯しながら、三人三様のセット料理を頼んだ。
タイ風の鶏唐揚げ。ベトナム風の春巻き料理。トートマンプラーというさつま揚げのような料理など、普段食べている食事と似たような料理が並んでいく。
それらに舌鼓を打っているうちに、真っ赤なスープが出てきた。エスニック料理では有名なトムヤムクンである。
辛いものに目がないIさんは、辛子たっぷりな色をした赤いスープに待ってましたと胸を躍らせ、さっそく一口、二口啜り始めた。
その時、Iさんの口の中で、なにか硬いものが歯に引っかかる感触がした。
唐辛子にしては硬すぎる。なんだろうと思いながら、Iさんはそれを摘まみ出した。
指先で摘まんだそれは、なにやら、白っぽい色をした殻のようなものである。楕円形に湾曲していて、端っこには赤いものがこびりついている。
なんだろう、これは。不思議に思いながらまじまじと見つめたIさんは、やがて、あることに気付いて目を丸くした。
人の爪。
それは、人間の爪の、爪先の部分にそっくりだったのだ。
友人達にそう言うと、二人も怪訝そうな顔で、「えっ!」と驚きの声をあげる。
そして、Iさんと彼らは動揺したまま店の主人を呼び、これは一体なんだと問いただした。
しかし、店主は顔から微笑みを絶やすことなく、物静かにこう答えた。
「ああ、それは海老の殻です。よく間違えるお客様がいますが、人の爪などではありませんよ」
その店主の態度と表情に、友人達の興奮も醒め、結局その場は、ただの勘違いだったのだということで終わった。
しかし、Iさんは今でも、あれは人の爪だった気がしてならないという。
というのも、あの時歯の間から摘まみ出した殻のようなものにこびりついていた赤いもの。
今思い出しても、あれは唐辛子などではなく、
剥げかかった、真っ赤なマニキュアに見えたからだ。
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44:トンカラリン助
:
2025/06/19 (Thu) 20:00:38
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ムラサキノカガミ
関西地方のとあるところに、間もなく成人式を迎える女性がいた。
彼女は成人式、特に晴れ着を着ることを楽しみにしていたのだが、不幸にもその日を迎えることなく、交通事故で亡くなってしまった。
この女性は普段から紫色の鏡を大切にしていたので、遺族はこの鏡を棺の中に入れてあげようと考えた。
ところが、亡くなった女性がいつも肌身離さず持っていたほどの物なのに、どういうわけかこの鏡の行方がわからない。
彼女の部屋や事故現場まで探し回ったが見つからず、結局、鏡が見つからないまま葬儀が執り行われた。
その後、この女性に関する悪い噂が立った。
女性は生前良い評判のない男と付き合っており、その別れ話がこじれたために亡くなったというものだった。そして、紫の鏡はその男性からの贈り物だったというのである。
この噂は全く事実無根のものだったのだが、出所は亡くなった女性の女友達だった。
やがて成人式の日。亡くなった女性にまつわる悪い噂を流していた友人が行方不明になった。
そして行方不明になった当人と入れ替わるように、その人の部屋からあの紫の鏡が見つかった。
行方不明になった女友達はその後再び姿をあらわすことがなく、彼女の両親は心労が重なり、ついには亡くなってしまったらしい。
ムラサキカガミという言葉が呪われた言葉となったのは、この怪奇な出来事以降のことである。
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45:トンカラリン助
:
2025/06/19 (Thu) 20:47:30
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ムラサキノカガミ
10歳の誕生日、少女は母親から手鏡を贈られた。
プレゼントにお願いした手鏡をもらえた少女は嬉しくて、遊びにいく時も毎日、肌身離さず持ち歩いていた。
しかし、ある日、友達の家から帰る時、少女は轢き逃げに遭って亡くなった。
その時も、少女は手鏡を持っていたのだが、青い縁取りの装飾が美しかった手鏡は、少女の血の色で、紫の鏡になってしまったという。
少女の幽霊は、自分を殺した犯人を捜してこの世をさまよっている。
その轢き逃げの犯人は逮捕されていないが、20歳前後の年齢だったといわれている。
そのため、この話を知った二十歳の人間のところには少女の幽霊がやって来て、犯人だと思って呪い殺してしまうという。
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46:トンカラリン助
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2025/06/20 (Fri) 01:45:04
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ムラサキノカガミ
「紫の鏡」または「ムラサキカガミ」、「パープルミラー」や「紫色の鏡」ともいう。
二十歳まで覚えている人間は不幸になる呪いの言葉。
◆「紫の鏡」のようなNGワード(覚えてはいけない言葉)
「いるか島」
「血まみれのコックさん」
「赤い沼」
「黄色いハンカチ(黄色のハンカチ)」
「紫の亀」
「呪いの亀」
「黄色いミイラ」
「銀色のナイフ」
覚えてはいけない年齢は20歳が主だが、15歳、23歳~24歳というケースも少なからず存在する。
「紫の鏡」や「いるか島」のように独自の怪談を持つもの以外の、一つ一つのNGワードの出処などは不明なものが多く、中には、
「紫の鏡と赤い沼を覚えてはいけない」
という、一緒に覚えることが禁忌とされている禁句もある。
(『黄色いハンカチ』はむしろ『幸せの黄色いハンカチ』として有名にも関わらず、なぜ呪いの言葉と噂されるようになったのか不明である。)
◆「紫の鏡」を覚えていることで起きる不幸や怪異について
・死ぬ
・呪われる
・神隠し(行方不明になる)
・気が狂う
・廃人になる
・結婚できない
・卒業できなくなる
・鏡の破片に全身を貫かれて死ぬ。
・ハンマーを持った男に撲殺される。
・鏡の中から血だらけの女が現れて、剃刀で切り裂かれて殺される。
・20歳の誕生日に、鏡の中に吸い込まれて、砂漠にワープさせられてしまう。
バリエーション様々に語られているが、「紫の鏡」が呪われた言葉となった経緯との関連や、それらの由来などについては不明か皆無なものが多い。
◆「紫の鏡」有力説
「紫の鏡」で一番有名な、「お気に入りの手鏡に紫の絵の具を塗った女の子の話」は少女の無念が呪いになった、と続く話が多いが、もう一つ、
「鏡に魂を奪われた」
という説もある。
「ある女の子が、お気に入りの手鏡に悪戯で紫の絵の具を塗った。
それからすぐにそのことを忘れてしまったのだが、20歳になった時に、その手鏡を取り出した瞬間、彼女は死んでしまった」
というようなあらすじだ。
このバージョンは、『その鏡はインドで作られた古いもので、呪術的な意味合いのある特別なものだった』と締めくくられるのだが、一番の大元は、「地獄先生ぬ~べ~」だと思われる。
愛読していたファンには覚えている人も多いかもしれないが、「死を招く紫鏡」のエピソードにおいて、ぬ~べ~が紫の鏡の呪いに対して、こんな解釈を語っている。
「“紫”は色霊で『あの世』を意味する色であり、“鏡”は霊界や神道への入り口。つまり、長年使用したことで自分の魂が籠った鏡に紫色の絵の具を塗る行為は、鏡に開かれた冥界の入り口に自分の魂を引きずり込ませることに繋がるのかもしれない」
これが漫画に描かれる前から存在していた解釈なのか、それとも作者の考察なのかは不明だが、この解釈が一人歩きを始めて、「紫の鏡」にまつわる有力説になったということは考えられる。
(なお、作中における紫の鏡の怪異は『覚えたら死ぬ言葉』ではなく、『鏡に紫の絵の具を塗ると持ち主が死ぬ』という、一種の呪いとして描かれている。)
◆学校の怪談における「紫の鏡」
「紫の鏡」は学校の七不思議の一つとして語られる場合もあり、そのケースでは、
「ある時刻や状況などの条件下で鏡に紫色の光が映り、それを見た者の死を暗示する。」
または、
「トイレの鏡に自分の死に顔が映る」
という鏡にまつわる都市伝説や、紫ババアと関係した学校怪談になっている。
(東京都東久留米市の学校には、トイレにある鏡の中から紫ババアが現れるという怪談がある。)
◆「紫の鏡」の呪いから助かるための方法
◇「紫の鏡」への対抗ワード(呪いよけの言葉)
「白水晶(白い水晶、白い水晶玉)」
「ピンクの鏡」
「水色の鏡」
「黒いカーネーション」
「永遠に光る金色の鏡」
「助けてホワイトパワー」
ほとんどが清浄なイメージの白や、明るく華やかな色にまつわる呪文である。
◇「紫の鏡」の呪いから助かるためのおまじない
・横断歩道の白い部分を踏めば呪いから助かる。
・「水野温斗」と唱えれば呪いは解ける。
これらの言葉を覚える、またはおまじないをやると、「不幸にならない」、あるいは「幸せになれる」と続く場合もある。
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47:トンカラリン助
:
2025/06/20 (Fri) 09:03:47
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いるかじま
「いるか島」という言葉を15歳の誕生日まで覚えていると、電話がかかってくる。
その電話に出ると、身体がバラバラになって死ぬ。
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48:トンカラリン助
:
2025/06/20 (Fri) 09:42:01
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女の人
28年ほど前、ある女の子が体験したという話です。
女の子が絵画教室からの帰りに、スーパーの裏の道を歩いていると、突然、
「助けてー!!」
という悲鳴が響き、後ろから血まみれの女の人が走ってきました。
驚いた女の子は逃げ出しましたが、しばらく走ってから振り返ると、女の人は消えていました。
なんだったんだろうと思いながら歩き出した時、なにかを踏んで、女の子は足元を見ました。
そこには、さっきの女の人がいて、女の子はその足を踏んでしまっていたのです。
「ふ~ん~だ~わ~ね~」
女の子が逃げ出すと、女の人はそう叫びながら追いかけてきました。
女の子は必死に逃げながら、手近な石などを女の人に投げつけました。すると、
「いじめるの?」
と言いながら、女の人はスーッと煙のように消えてしまったそうです。
その女の人の正体などは不明。
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49:トンカラリン助
:
2025/06/20 (Fri) 09:50:06
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縁結び
縁結びの願いが叶う神社でお願いをした。
「憧れの先輩とくっつくことが出来ますように!」
翌日、瞬間接着剤で、本当に先輩と「くっついた」。
「ふざけんなよ」
神社の前で、先輩に言われた言葉を社に向かって叫んだ。
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50:トンカラリン助
:
2025/06/20 (Fri) 10:21:06
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夜、コンビニからの帰りに真っ暗な道を歩いていると、後ろから車の音がした。
慌てて道端に寄りながら振り向くと、黒いワゴン車がゆっくり走ってきた。
深夜なのにライトを点けておらず、人が早足で歩くぐらいの、いやにゆっくりとしたスピードで走ってくる。
安全運転にしても遅すぎる車に、どんな人が乗ってるんだろうと思いながら運転席を見てみる。
けれど、車の中は真っ暗で運転手の顔もなにも見えない。
ただ、フロントガラスの前に座っているピンク色のウサギの人形だけが、いやにはっきり見えた。
そのうち、車はゆっくりと横を通りすぎ、道の向こうへ消えた。
妙な車だったなと思いながら再び歩き、通りにさしかかったところ、事故現場に遭遇した。
道路脇に追突した事故車は、さっきのワゴンと同じ車だったが、警官によると事故が起きたのは一時間前だという。
しかし、車の傍にはさっきのウサギの人形が、血まみれで転がっていた。
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51:トンカラリン助
:
2025/06/20 (Fri) 10:35:21
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違法駐車
一時期、家の前にいつも駐車されていた。
注意しようと思っても、いつの間にか家の前に無人の車が停まり、帰りを待ちかまえても、気付かぬ間に消えてしまう。
フロントガラスに、「駐車禁止!」と貼り紙をした翌日から違法駐車はなくなったが、今思えばおかしなことがある。
家の近くには民家も少なく、ショッピングモールはもちろん、その他の公共施設からも遠く離れている。
あるものといえば、大きな墓地があるだけなのに、あの車の主は、家の前に駐車をしている間、どこに行って、どこから帰ってきたのだろう。
そういえば、記憶違かもしれないが、車が停まる時も消える時も、エンジンや車輪の音を一切聞いた記憶がないし、
これは関係ないと思うが、あの車はなんだか、いつも線香の匂いがしていた気がする。
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52:トンカラリン助
:
2025/06/20 (Fri) 13:02:40
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かくれんぼ
Kさんが小学生の時、放課後の学校でかくれんぼをして遊ぶのが流行っていました。
その日も掃除当番が終わった後、数を数え始めた鬼から逃げ出したKさんは一人、理科室の教卓の下に隠れて、じっと息を潜めていました。
数分後、鬼は今どこにいるだろうと、廊下の方に耳をすませた時、
「どこにいるのかな、どこにいるのかな」
と、理科室の中から誰かの声が聞こえてきました。
突然の声にビックリしましたが、
「危なかった。顔を出してたら見つかってた」
とホッとしながら、Kさんは教卓の下に身体を縮こめました。
「見つけるぞ、見つけて連れて行くぞ」
ガタンガタンと、乱暴に探す音が聞こえてきます。
絶対に見つかるもんかと、口に手を当てて隠れ続けるKさん。
捜し物の音は大きくなり、バサバサと紙が落ちる音や、ガシャンとガラスが割れる音まで響きます。
「おいおい、やりすぎだろ。先生にバレたらどうする気だ」
声を押し殺したまま、物を倒す音や何かを壊す音を聞き続けるKさん。
時折声を上げそうにもなりましたが、Kさんは絶対に隠れきってやると、教卓の奥に身体を丸めて耐えました。
しばらくして、物音が一つもしなくなった頃、Kさんは教卓の影から理科室の様子を窺ってみました。
理科室の中には誰の姿もなく、しんと静まり返っています。
「良かった。見つからずにすんだ」
安心したKさんは立ち上がり、これからどうしようか考えながら部屋の中をぐるっと見回しました。
そして、
「あれ?」
と、目を丸くしました。
Kさんはさっきまで、たしかに教卓の下で、乱暴に部屋を荒らし回る音を聞いていました。
なのに、理科室には荒らされた跡が一つもなく、何事も無かったように整理整頓されています。
割れてるビーカーや試験官はもちろん、倒れてる椅子や、床に散らばってる紙なども一切ありません。
いつもと変わらない、Kさんが教卓の下に隠れる前と、まったく同じ理科室の風景が、そこにありました。
なんで?
どうして?
訳が分からない出来事に、その場で立ちつくしたまま混乱するKさんの頭の中に、いくつも疑問が湧いてきました。
じゃあ、さっきのあの乱暴に散らかす音はなんだったんだ?
そういえば、最初に声が聞こえるまで、ドアを開ける音もしなかった。
アイツは、いつ、この部屋に入ってきたんだ?
それに、今思い出すと、あの声は、鬼役の友達の声じゃなかった。
いや、そもそも、友達の誰の声とも違った気がする。
あの声は友達じゃなかったのか?
それじゃあ、一体、あの声のアイツは、誰だったんだ?
もし、見つかっていたら、自分はどうなっていたんだ?
そこまで考えた瞬間、総毛立ったKさんは、かくれんぼのことも忘れて、理科室から飛び出しました。
その時、
「あ、K見つけた!」
ちょうど理科室まで探しに来た鬼の友達とばったり出くわし、Kさんは鬼にされてしまいました。
「ダメだろ、ちゃんと隠れてなきゃ」
笑いながら言う友達の声につられるように、Kさんより前に見つかった友人達もそこに集まってきました。
みんな、Kさんがいた理科室とは、別の校舎へ逃げた面々です。
Kさんはその場で友人達に、「さっき理科室に来たか」と聞いてみましたが、全員、「こっちの校舎にも今来たばかりだ」と答えをかえしました。
その後、他の鬼役と一緒に学校中に隠れた友達を見つけていき、一人一人に理科室に来なかったかと聞きましたが、誰も理科室に来た子はいませんでした。
やっぱり、あれは友達の誰かじゃなかったんだ。
Kさんは、背筋が寒くなる思いで、さっきの自分の状況をあらためて理解しました。
その後、流行が廃れてきたこともあり、Kさんはかくれんぼをしませんでした。
放課後の学校にも出来るだけ居残らないようにし、一人で理科室に行くこともありませんでした。
それでも、その出来事があって以来、Kさんは絶対に見つからないような隠れ場所を探すことが癖になってしまったそうです。
もし、あの時見つかっていたら、自分は連れていかれていたのだろうか。
一体、どこに連れていかれていたのだろうか。
もしも、あの声の主が、まだ自分を探しているとしたら。
そう考えるたび、今でも時々、あの声が聞こえてくるような気がするから。
「見つけるぞ、見つけて連れて行くぞ」
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53:トンカラリン助
:
2025/06/22 (Sun) 18:17:00
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うしろの席
授業中、後ろから背中を指でトントンとされた。
いつものおしゃべりの誘いだろう。
注意しようと友人の席を振り返った後すぐに、「あっ」と思い出した。
その日、友人は風邪で欠席しており、うしろの席には誰も座っていなかったのだ。
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54:トンカラリン助
:
2025/06/22 (Sun) 23:06:03
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修学旅行の夜
宿泊先の旅館で、間違えて入った部屋に先生が倒れていた。
驚いて部屋に戻ると、今さっき倒れていたはずの先生が点呼に来ている。
先生や同室の友人達と一緒に、さっきの部屋に戻ってみたが、そこは誰も借りてない空き室で、旅館の人に聞いても、今夜は自分たち学校の人間しか泊まっていないという。
結局、見間違いでもしたんだろうと友人達には呆れられ、先生にも人騒がせな奴だと叱られ、その出来事は狐につままれた気持ちのまま終わった。
数年後、新聞に先生が死亡したという記事が載っていた。
修学旅行に行った旅館の、あの間違えて入った部屋で、物盗りに襲われて亡くなったという。
そういえば、あの夜に見た先生の顔、あの頃より老けていたな、と思い出した。
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55:トンカラリン助
:
2025/06/22 (Sun) 23:53:07
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夢じゃないよ
明け方、口笛の音で目が覚めた。
ルームメイトの友人だ。少し掠れて聴き取りにくいが、か細い音色は、いつも上機嫌な時に吹いてる曲だから、すぐにわかった。
「ちょっと、うるさいよ」
まだ眠い彼女は、二度寝のために友人をたしなめるが、口笛をやめる気配はない。
「やめてよ、怒るよ」
眠りの邪魔なため、思わず語気が強くなるが、友人は頭から布団をかぶったまま、口笛をふき続けている。
ため息をついた彼女は、友人の頭から布団を捲りながらキツく言おうとした。
「ちょっと」
友人は、死んでいた。
布団の下で、友人は苦悶の表情で冷たく硬まり、切り裂かれた喉から溢れた血で、シーツも布団の内側も赤黒くなっていた。
目の当たりにした惨状に、言葉を失っていた彼女は、やがて首を横に振りながら、呟き始めた。
「嘘。嘘よ。これは嘘よ。嘘でしょ。夢。これは夢。夢よこれは。ね。これは夢。夢よね?」
「夢じゃないよ」
彼女の後ろから、男の声が答えた。
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56:トンカラリン助
:
2025/06/23 (Mon) 13:12:45
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にわとり
Fさんの通っていた高校には、奇妙な鶏がいた。
毎朝、生徒たちが登校する時間になると、変な鳴き声を上げるのだ。
喉に何かが詰まったまま、無理矢理叫んでいるような嫌な声で、なにかの病気ではないかと飼育委員が教師たちに訴えたことも何度かあった。
けれど、学校側は、
「あの鶏は、昔からあんな風に鳴いていた」
と獣医を呼んだりはせず、実際、鶏も変な声で鳴く以外は、病気らしい様子はなかったという。
そうして飼育委員に新入生も、毎日の鳴き声に次第に慣れていくのが、毎年の常になっていたらしい。
ある日の放課後。帰りが遅くなったFさんは、妙な人影を見た。
その人物は、雨も降っていないのに黒いレインコートでフードを被った男で、黒いゴミ袋を持って、校舎の裏から出てきたのだ。
気になったFさんが隠れて覗いてみると、男は重そうなゴミ袋を背負って、鶏小屋へ歩いていった。
「先生の誰かかな?」
そう思いながら見ているうちに、男は鶏小屋の中に入り、地面に置いたゴミ袋の口を大きく広げる。
その中には、顔があった。
Fさんは悲鳴を上げそうになる口を、死に物狂いで押さえた。
目を見開いたまま、Fさんはもう一度、今見たものに視線を向ける。
子供が両手で抱えられるくらいの大きさのゴミ袋の中身。それは何度見ても、人間の、大人の男の顔だった。
異常なものを目の当たりにして、その場から動けなくなるFさん。
そんなFさんの見ている先で、鶏小屋の奥から、あの鶏が出てきた。
鶏は、いつも飼育委員が餌をあげる時のように、トコトコと男の前へ歩いてくる。
そして、おもむろに大きく広げたゴミ袋の口に頭を突っ込んだ。
「なんだ? なにをしてるんだ?」
鶏のすることが理解出来ないまま硬まるFさん。
しかし、何度も頭を動かす仕仕草と、嘴も顔も赤黒い色になっていく様子を見ているうちに、なにをしているのかわかった。
ゴミ袋の中の顔を、まるで鳥餌のように啄み、食べているのだ。
気が狂いそうな光景を前に、悲鳴と嘔吐を堪えたまま、Fさんは震えた。
しかし、すぐに我に返り、「このままここにいたら危ない」と、Fさんはなんとか男に気付かれないよう、その場から逃げ出した。
何度も何度も、男が追って来ているのではないかと振り返りながら家路を走り、家に帰り着くなり、その夜は朝まで、布団にくるまり震えていたという。
翌朝、学校はいつも通り、なにも変わった様子はなかった。
昨日のことが頭から離れないFさんは、登校しながら鶏小屋の方を窺ってみるが、鶏は小屋の中を呑気に歩いている。
「昨日のことは、もしかしたら夢だったのかもしれない」
そんなことまで考えられるようになったFさんは、級友達に挨拶をしながら教室に入った。
そして、そこで友人達から、驚くような話を聞かされた。
先月、隣町の高校へ異動になった先生が、行方不明なのだという。
話によれば、先生は先週の末に、学校から帰宅する途中で消息がわからなくなったらしい。
最後に目撃されたのが、この学校のすぐ近所だったということで、警察が今、学校関係者や生徒たちにも聞き込みをしているらしいと、友人達は興奮した様子で噂していた。
だが、Fさんが驚いたのは、その事件にじゃなかった。
友人達の話で思い出したのだ。
昨日、鶏小屋の中で鶏が啄んでいたゴミ袋の中の顔。
あの顔は、その、行方不明になった先生の顔だったことを。
その後、Fさんの身になにもおかしなことも、悪いこともなかった。
失踪した先生はいまだに行方不明で、あの日にFさんが見た男の正体もわからないままだが、それでも、あの時見たものに絶対関わらないようにしたおかげか、以前と変わらない日常を送りながら、Fさんは無事に学校を卒業することが出来た。
その後も、特に変わったことはない。
変わったことといえば、あの出来事のあった次の日から、鶏の声が、あの先生とそっくりになった気がするぐらいだった。
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57:トンカラリン助
:
2025/06/23 (Mon) 15:34:48
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ポスター
Iさんは実家で暮らしていた頃、部屋にポスターを何枚も貼っていた。
しかし、いつからか、何度貼り付けても、ポスターが剥がれ落ちるようになってしまったそうです。
最初は、セロハンテープで壁に貼っていたので、粘着力が無くなった所為で落ちるのだとIさんは思っていました。
けれど、ピンを刺して壁に貼るようにした後も、気がつくとポスターが壁から剥がれ落ちてしまうのです。
ポスターが剥がれる瞬間に原因があるかもしれないとも考え、Iさんはそれとなく、ポスターを観察するようになりました。
すると、Iさんが見ている間は全く異常も無いのに、少しでも目をそらした瞬間にペリペリと剥がれ始める。
そんなことが何度もありました。
これは本当におかしい。
そう思ったIさんは、父親から借りたビデオカメラを仕掛けて、自分がいない間の部屋の様子を撮影することにしました。
なにか不可解な現象が起こっている。
それは確かなことだったから。
カメラをセットした日、いつもより時間を潰して、学校から帰ってくると、やっぱりポスターは全て剥がれ落ちています。
Iさんはさっそくビデオカメラを巻き戻し、録画された映像を再生しました。
数時間、何も無いままビデオの映像は続きます。
Iさんが帰ってくる一時間前まで早送りをしてみますが、なにも変化の兆しさえありません。
考えすぎだったのかな。
そう思い始める間にも映像は流れ、とうとう、Iさんが帰宅する直前になりました。
すると、突然異変が起きました。
ポスターがうねり始めたのです。
えっ、と思い、Iさんは巻き戻してもう一度見ます。
見間違いや光の加減ではない。確かに、ポスターがゆるやかに波打っています。
最初は、風に煽られてゆっくり靡いているように見えました。
ですが、窓は鍵もちゃんと閉まっていて、隙間風も感じない。なにより、今のポスターの動きは、風によるものではありません。
しかも、異常はそれだけではない、まだ始まりでした。
蠢くポスターは、だんだん前へ、前へとひしゃげていき、ついには端っこに刺したピンが壁から浮き出てきたのです。
まるで、なにかが紙の裏から浮かび上がり、それがポスターを押し出しているようです。
そして、ついにポスターが剥がれ落ちる瞬間、それが映りました。
壁からピンが抜けて、ベリベリと捲れたポスター。
その裏に、「顔」がありました。
真っ黒な色をした、人間の顔。
壁の中に埋め込まれて、顔だけが壁面から出ている腐乱死体にも見えます。
でも、それは生きていました。
まるで周囲を窺う鳥のような奇妙な動きで顔面を震わせ、ギョロギョロと目玉を動かして部屋中に視線をめぐらせる「顔」。
その顔が、壁の中から浮かび上がり、ポスターを落としたのです。
想像もしていなかった信じられない映像に、Iさんは言葉を無くして、凍りつきました。
そんなIさんの手の中、ビデオカメラの中で「顔」はしばらく部屋中を見回していましたが、やがて、壁の中に吸い込まれるように消えていきました。
消える一瞬、ビデオカメラの方を見つめた「顔」と、目が合って、Iさんの背筋に震えが走ります。
「顔」が消えた一分後、帰宅してきたIさんの様子を最後に録画は終わり、そこで画面は真っ黒になりました。
そのまま、映像が終わった後も、なにも考えることも出来ずに立ちつくすIさん。
時間がたつにつれ、今見たものが事実だと全身に染み渡り、Iさんは恐る恐る、壁の方へ振り向きました。
そこにはいつもと同じ、真っ白い壁があります。
何も無かったかのような壁は、恐ろしいほど静かで、まるで、ジッとIさんを見つめているようでした。
その後、学校を卒業したIさんは一人暮らしを始め、実家に帰宅することは滅多にありませんでした。
一度、母親に電話で聞いた話では、あの部屋は使い道もないので、Iさんが出ていってからは空き部屋のままだそうです。
なお、壁にカレンダーやらをかけても、なぜかすぐに落ちてしまうので、あの部屋に今、ポスターや壁掛けの物は一切無いという。
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58:トンカラリン助
:
2025/06/23 (Mon) 16:03:31
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画鋲
Dさんが小学校の時、上履きの中に画鋲を入れる悪戯が流行した。
冗談ではすまされないのだが、当時は本当に流行していたという。
気に食わない同級生の上履きに画鋲を入れて、それに誰がやったんだと怒る姿や、次は自分の番かもしれないと不安がる女子やクラスメイト達の表情にほくそ笑む。
大人になった今、Dさんはその嫌がらせで遊んだことを後悔している。
なぜなら、毎朝、靴を履こうとすると、中から必ず画鋲が出てくるのだ。
ドアには鍵がかかってるうえ、マンションの5階で誰も入ってこれるはずがないのに。
夜、寝る前に何度も確認するが、朝になると、やっぱり画鋲が入っている。
鍵を換えても、玄関に隠しカメラを仕掛けても、なにも変わらなかった。
ただ、一度だけ。
夜中に目が覚めた時、Dさんは変な声を聞いた。
何度も何度も、同じ言葉を繰り返す、子供の声を。
「しかえし…しかえし…しかえし…しかえし…しかえし…」
Dさんが玄関先へ来た時には、そこには誰の姿も無く、画鋲が大量に詰まった靴が残されていた。
今でも毎朝、靴に画鋲が入っているらしい。
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59:トンカラリン助
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2025/06/23 (Mon) 18:20:30
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コンタクトレンズ
これは、東京に住んでいた女子高生の話です。
彼女は昔から目が悪く、けれど眼鏡が嫌いなので、中学生の時からずっとコンタクトレンズをしていたそうです。
ある時から、コンタクトをしていると、目が痛むようになりました。
チクチクした痛みで、おまけにコンタクトレンズを外すと、なにやらポツポツとした跡がついているのです。
おかしいな、と思いましたが、視力が0.1だった彼女はコンタクトレンズをやめることが出来ず、親にも相談せず我慢していました。
ある夜。彼女は大学受験のために、夜遅くまで勉強していました。
時計の針が深夜をまわった頃、うとうとしてきた彼女は、勉強に疲れていたこともあり、コンタクトレンズを外すのを忘れて、そのまま眠り込んでしまいました。
それからしばらくして、机に座ったまま寝ていた彼女は、突然、目に走る激痛で眠りから覚めました。
今まで味わったことのない痛みが目玉で暴れ狂い、悲鳴をあげながら彼女は、コンタクトレンズを目から剥がしました。
その時です。
じゅるるるる
と、生まれてから一度も感じたことのない嫌な感触がしました。
コンタクトレンズと一緒に、目玉から、なにかが引きずり出されたのです。
それは、糸こんにゃくのような透明な糸でした。
コンタクトレンズに付着したそれは、目玉との間に糸を引き、だらんと垂れ下がっています。
そしてそれは、動いてました。
目とレンズの間に繋がりながら、ニュルニュルと蠢いています。
目の寄生虫です。
コンタクトレンズから目へと、寄生虫が生えていたのです。
彼女は絶叫しました。
コンタクトレンズを投げ捨て、狂ったように目を擦りますが、虫は目から出ていくどころか瞼の裏まで逃げ回り、ニュルニュルと蠢く感触がさらに彼女を狂乱させます。
そして彼女は机にあったペンを手に取り、そのまま、「虫に向かって」突き刺しました。
その後、おぞましい断末魔の叫びを聞いた両親が部屋に駆けつけてきた時には、彼女は目にペンを突き刺したまま絶命していました。
目の寄生虫は実際に存在しています。
それでも、人間の体では感染しにくい場所なので、あまり感染することはないらしいです。
しかし、コンタクトレンズなどの異物を目の中に入れることで、感染がしやすくなるそうです。
ましてや、なんらかのことが原因で、寄生虫の苗床になってしまったコンタクトレンズを使ってしまえば……この話の、彼女のようになってしまうかもしれません。
コンタクトレンズをしている皆様も、
これから始める皆様も、
気をつけてください。
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60:トンカラリン助
:
2025/06/24 (Tue) 19:01:24
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かくれんぼ
ある男の子が、公園で友達とかくれんぼをしている時、行方不明になった。
鬼になった子も友達も一緒になって捜したが見つからず、大人達も誰も男の子を見つけることは出来なかった。
警察も捜索したが、公園以外の場所で男の子を目撃したという情報も無く、
事件の日、公園の裏にあるゴミ捨て場に、粗大ゴミの廃品回収に来た業者も、それらしい子供の姿を見なかったと証言した。
そして、なにも手がかりさえ無いまま、警察の捜査は打ち切られ、いなくなった男の子は見つかることはなかった。
その数年後、ある埋立地で、奇妙な噂が囁かれるようになった。
地面の下から、声が聞こえてくるというのだ。
その声は、子供の声で、地面のずっと下の底から、何度も、こう叫んでいるという。
「もういいよぉー。もーいいよぉー。早く見つけて……」
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61:トンカラリン助
:
2025/06/25 (Wed) 22:46:03
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てるてる坊主
ある男の子が、遠足の前の日に、明日は晴れになるようにと、てるてる坊主にお願いをした。
「てるてる坊主 てる坊主 あした天気にしておくれ
それでも曇って泣いたなら そなたの首をちょんと切るぞ」
翌日、雨が降って遠足は中止になった。
怒った男の子はてるてる坊主の首を切って捨ててしまう。
数日後。
延期になった遠足の前の日に、男の子はまた、てるてる坊主にお願いをした。
「てるてる坊主 てる坊主 あした天気にしておくれ
いつかの夢の空のよに 晴れたら金の鈴あげよ
てるてる坊主 てる坊主 あした天気にしておくれ
私の願いを聞いたなら 甘いお酒をたんと飲ましょ」
翌日、絶好の遠足日和な日本晴れに、大喜びをする男の子。
ところが、男の子はてるてる坊主に、金の鈴も甘い酒もあげないまま遠足に出かけてしまう。
その日、男の子は遠足に行くことが出来なくなった。
走ってるバスの窓から顔を出した時、接触事故で首が折れてしまったから。
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62:トンカラリン助
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2025/06/26 (Thu) 21:57:59
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親指
昔々、ヨーロッパの貧しい村の話です。
少年はその日、家の近くの森で、食べられそうな根菜は無いかと地面を掘っていました。
すると、土の中から、親指が現れました。とても大きな、人間の親指です。
少年がそれを力いっぱい引っ張ると、腐りかけてた親指は根元からちぎれて、両手で親指をもぎ取った少年は尻餅をついてしまいます。
その時です。その親指が出てきた穴から、地面がもぞもぞと蠢き、土の底から、恐ろしい唸り声が響いたではないですか。
恐ろしくなった少年はその場から駆け出し、一目散に家に逃げ帰りました。
家にたどりつき、
「ここまで来れば、あれは追いかけてこないだろう」
と安心した少年は、台所のお母さんに、得意げな顔で、もぎ取ってきた親指を渡します。
少年の収穫に、お母さんは目を丸くして感嘆しました。
「まあ、とっても大きな親指ね。今夜の晩御飯に、三人で食べちゃいましょう」
貧困で食べるものが無かった村では、縛り首にされた人間の肉など、死体を食べることも珍しくありません。
お母さんはグツグツと煮え立つ鍋で親指を茹でて、少年と、家に帰ってきたお父さんのために、包丁で三つに切り分けます。
そして、一つずつ親指の肉を手にした親子は、久し振りのお肉を頬張り、満足した顔で夕食を終えました。
その夜。草木も寝静まった頃のこと。
少年がベッドの中でなんとなく目を覚まし、寝返りをうっていた時です。
遠くから、声が聞こえました。
幽かに響くそれは、人の声のようです。
こんな時間に、何者だろう?
夢現に、その声を耳にした少年は、耳を澄ませてみました。
「オレの………親指は………どこだぁあああ………」
少年は目を見開き、全身が凍りつきました。
指先まで硬直した少年の耳に、再び、声が聞こえます。
「オレの……親指は……どこだぁあああ……」
喉から振り絞るような、かすれた男の声。
少年は震える拳を握りしめ、息を押し殺します。
「オレの…親指は…どこだぁあああ…」
また、男の声が響きます。
ベッドの中で震えながら、少年は気づきました。
声がさっきよりも大きく、そして、近くから聞こえることに。
「オレの、親指は、どこだぁあああ…」
声が、聞こえてきました。
家のすぐそば。玄関の扉の前から。
ガチャッ。
玄関から、ドアのノブを回す音が聞こえました。そして、
ギィイイイ。
ドアが開く、軋んだ音が続きました。
少年は布団を頭からかぶり、逃げることも出来ないまま、ベッドの中で震えます。
「オレの、親指は、どこだぁあああ」
声の主は、ベチャッ、ベチャッと湿った足音を立てて、家の中に入って来ました。
家中に響き渡る、低く、恐ろしい声なのに、別の部屋で寝てるはずの両親が起きてくる気配はありません。
「オレの、親指は、どこだぁあああ」
ベチャッ。ベチャッ。
男の声と一緒に、足音が歩いてきます。
「オレの、親指は、どこだぁあああ」
ベチャッ。ベチャッ。
まっすぐ、少年の部屋まで歩いてきます。
「オレの、親指は、どこだぁあああ」
ベチャッ。ベチャッ…。
足音は、部屋の前で立ち止まりました。
そして、
ガチャッ。
ギィイイイッ……。
ドアのノブが回る音に続いて、ゆっくり、ドアを開く音が響きます。
ベチャッ…。ベチャッ…。
さっきよりもゆっくり、濡れた足音が、部屋の中に入ってきました。
布団にくるまり、震えることしか出来ない少年は、もうどうすることも出来ません。
そんな少年を、さらにおびやかすように、
ベチャッ…。ベチャッ…。
足音は一歩。また一歩。ゆっくりと近づき、そして、
ベチャッ…。
ついに、足音は、少年のベッドの前で立ち止まりました。
「オレの……親指は……どこだぁあああ…………?」
布団に隠れる少年の、すぐそばに、声の主がいます。
今度ははっきり、少年に問いかけながら。
「オレの、親指は…………」
そう、言ったきり、なぜか声の主は黙りこくりました。
少年は怯えたまま息を震わせていましたが、だんだん、何も起きないことに、早鐘を打っていた心臓も穏やかになっていきます。
そして、静かなため息がこぼれた瞬間。
「お前が食べたなぁああああ!!!!!」
男の叫びとともに、布団が剥ぎ取られ、悲鳴をあげる少年をベッドから引きずり出しました。
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63:トンカラリン助
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2025/07/02 (Wed) 08:36:13
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俺、小学校四年のときくらいまでスゲー田舎に住んでたんだけど、ある日の夕方、友達の家からの帰り道でふと何気なく空を見たら、ちょうど見上げたすぐそこにあった親戚の家の屋根に誰かが乗ってる。
親戚の家は古い家だったから、
「屋根瓦でも葺き直してんのかな」
と思ってちょっと近付いてみると、上に乗ってる人は、なんかその作業着にしては随分けばけばしい色使いの服を着てる。
それどころかよく見ると、どうやらその人は小汚い格好をして頭にパーマをかけたおばさんのようだった。
小汚く汚れた派手な色の服を着たおばさんが、親戚の家の屋根に四つん這いでしがみ付いて何かをしてるのだ。
俺は不思議に思って首をひねったものの、
「きっとあれは親戚のおばさんかなにかで、屋根は自分で直してるんだな」
とかなんとか無理矢理納得してその場を後にした。
その後、家に帰り夕食を食べ終えた俺は、さっき見た変なおばさんのことを祖母に聞いてみる事にした。
祖母はかなりの高齢で、普段から温和で誰にでも優しい人だったんだが、俺がその話をした途端、いつもの柔和な顔からうって変わって普段からは想像も付かないような厳しい表情になり、俺に
「顔は見たんか! 目は合ったか!」
と聞いてくる。
俺は怖くなってずっと首を左右に振っていると、祖母は
「しばらくあの家には近付かんほうがいい。そしてこの事は誰にも言うな」
と、いつもの顔に戻って俺に優しくそう言い聞かせた。
俺は祖母が怖かったからあまりそれについては聞けなかったんだけど、一つだけ「あのおばさんは危ない人なの?」と聞いたら、祖母は静かな声で「しょうきらさんじゃ」と言ったっきり、後は何も言わなかった。
それから半年くらい経って、俺はそこから引っ越す事になった。
友達としばらく会えなくなるのは寂しかったけど、きっと新しい友達がたくさんできる、と不安と期待が入り混じった気持ちで、みんなに別れの挨拶をしてその村を後にした。
それからまた5年ほどの月日が流れたお盆の日。
俺は久しぶりに村に帰ってきて、家族と一緒にお墓参りや親戚の家を訪ねたりしていた。
昔よく遊んでくれたおじさんや親戚の姉ちゃん。みんな昔のままだった。
親戚の家に2日ほど滞在して、俺たちは家に帰る事になった。
遠くの方でカナカナカナとヒグラシが鳴いていて、車内から見る夕焼けと夜が混じった空はどこか懐かしくて夏の終わりを感じさせた。
俺はふと10歳の時に見たあの事を思い出す。
当時はあまり気に止めなかったけれど、よくよく考えればあんなおばさん、親戚にはいなかったのだ。
時代遅れのサイババのようなチリチリパーマをかけたおばさんなんて、一目見ればわかるじゃないか。
俺はなんだか少し怖くなった気がして外を見るのを止めた。
車の窓を閉める瞬間、通り過ぎた家の屋根にあの派手な色彩が乗っていたような気がして、俺は慌てた。
<追記>
今はばあちゃん死んじゃって、本当はなんだったのかわかんないけど、とりあえずオチとしては、その屋根に乗られた親戚の家は、娘さんが大阪に行って行方不明になったままだったり、息子さんが精神病になってしまったりで絶えてしまったらしい。
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64:トンカラリン助
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2025/07/02 (Wed) 08:43:35
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大学への通学路の途中に妙な建物がある。
サイコロをぽん、と置いたような色気のない立方体で、装飾も凹凸もほとんどない。
ある一面にだけ青いプラスチック製の板が打ち付けられてあって、たぶん窓があった場所なんだろう、そこを塞いでいる。
そのせいで中の様子はわからない。
その反対の面には長方形の入り口が切り取られているのだが、いきなり地下に続く階段がのぞいている。
「仮にその下に地下があるとして、じゃあ建物の1階の部屋にはどうやって入るんだよ」
と思っていた。
部屋か階段がトマソンなのか?
前者なら部屋はすっからかんだろうから窓を塞ぐ意味がわからない。後者なら部屋の入り方がわからない。なんにしても意味不明だった。
それほど大きくない。5m×5mくらいだろうか。
立方体と聞くだけじゃ不思議に思わないかもしれないけど、直に見てもらえないのが悔しい。
建物っていうのは色んな形、大きさの立体が組み合わさって出来ている物だし、アンテナも立ってれば窓もあったりで建物の「性格」みたいのがある(はず)。
このサイコロにはそれがない。言葉で聞くんじゃなく、見ればやっぱり違和感覚えると思う。
このわけのわからん建物のために無闇に広い土地が用意されていて、サイコロはそこに無造作に据えられている、といった感じだった。
敷地内にはそれ以外になんの人工物もなく、草ぼうぼう。
引いて閉める型の門で敷地への入り口は閉じられており、門と門柱は錆びまくったチェーンで繋がれていたから門を乗り越えないと入れない。
サイコロは外壁の塗料の剥げ方が尋常じゃなく、敷地内の状況も考慮して人の用いる建造物としてはとっくに機能してないんだろうな、と思っていた。
つーかこの構造では最初からまともに役目を果たしていたのか謎だったけど。
周りはちゃんとした住宅地だから浮きまくっていたし、なんか負のオーラみたいのを感じたからあんまり凝視しなかった。
ある日の朝。
いつもは自転車で通ってるんだけど、先日後輪がイカれたからここ数日は仕方なく徒歩で通っていた。
東京の人ならわかると思うけど、早朝けっこう強めに雨が降ってて、それがそのときになって止んだので「雨が降ったらお休みで~」も通用しなくなったからしぶしぶ大学に向かった。
大学生になって1年半、大げさな言い方をすれば、初めて「雨後」かつ「徒歩」の条件が整ったわけだ。
で、そのサイコロの前を通って仰天。
壁の一面に人の手形がびっしり。しかもたぶん子供の。
原理は知らんけど、たぶん雨が降るとかして水分に触れるとその部分が浮き上がってくるんだろう。
ヤバいもの見た、つーかここはやっぱりヤバかった、という感じです。
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65:トンカラリン助
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2025/07/02 (Wed) 08:48:08
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不思議というか奇妙なコラピスおじさんってのがいた。
ローカルだが地元ではけっこう有名な話。
公園でガキに飲み物を売ってくれるホームレスっぽいへんなオヤジでさ、しかも売ってる飲み物が一種類。
名前が「コラピス」。
2Lペットの中に入れてあってそれを紙コップに入れて一杯10円で売ってるんだわ。
でも買ったらすごい不味いんだわ。
コーラとカルピスを混ぜてあるみたいなんだが変な味がする。しかもぬるくて吐きそうになる。
家で試したら全然味が違って美味しかった。
同じ町内の公園のいたるところで目撃されているんだが、聞いた話ではある日苦情があったらしくて、警察が回って歩いたり親に関わるなと釘をさされたり学校では集会が開かれて関わらないように指導されたりした。
それ以来一度も会ってないけどまだ生きているんだろうか。
怖いのは変なものを混入されていたのではと考えるとガクブルなんだが、体調には異常がなかった。
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66:トンカラリン助
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2025/07/02 (Wed) 08:55:19
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横浜市のある街には、紙芝居にまつわる都市伝説がある。
夕方ある公園で1人で遊んでると、黒い自転車に乗って死神が来るという。
死神は子供の名を呼んで誘い、荷台に積んである紙芝居を見せる。
その紙芝居は非常に面白く、いいところで【つづく】になる。
続きが見たければ明日は川の土手においで。
死神はそう言って去っていく。
次の日の夕方、死神は川の土手にやって来て紙芝居の続きを見せてくれる。
そしてまたいいところで【つづく】になる。
続きが見たければ明日は橋の上においで。
死神はそう言って去っていく。
そうして死神の紙芝居を毎日見てるうちに、その子はいつの間にか川の向こう、
「あの世」に連れて行かれてしまう。
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67:トンカラリン助
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2025/07/02 (Wed) 08:56:51
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俺が小学生の頃にクラスで流れてた噂。
俺が住んでいる町内には公園がいくつか設置されているんだけど、その中には学校から離れているせいか、ほとんど誰も遊びに来ないような寂れた公園が一箇所だけあった。
噂というのは、その公園に、“くっつきじいさん”という危険人物が出るという話。
曰く、そのじいさんは昼頃から夕方にかけて、公園のベンチにずっと座っているのだが、子供が遊んでいるのを発見するや否やすごい勢いで迫ってきて、公園の敷地から逃げ出すまでがっちり抱きついて、ベロベロ顔を舐め回して来るという、子供ならずとも警戒してしまうようなヤツだったそうだ。
噂は有名だったが、誰もそいつから襲われたという話は聞かなかったし、大人たちも特に注意を呼びかけるようなことも無かったから、その実態は結局不明。
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68:トンカラリン助
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2025/07/02 (Wed) 10:07:55
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千葉県A市に、車がたくさん通る大通りがある。
そこは人通りも多く明るい道だが、その一角に、抜け道のような細い曲がり道があるらしい。
その細道は街灯もない一本道で、大通りとは一転して、いつも暗くて静まり返っている。
その道をずっと行くと、道に子供が描いた、赤いチョークの落書きがあるという。
人通りの少ない道に、赤いチョークの落書きがあるだけでも気味が悪いものだが、その落書きには、もっとおぞましい噂がある。
初めはハートなどの他愛もない子供の絵が道なりに続くが、最後のあたりに、絵ではなく、奇妙な文字が書かれている。
その文字は、こんな言葉だ。
「パパはまえにママはうしろにいるよ」
何年か前に、この道で小学4、5年生の女の子が両親に殺され、その後両親も自殺するという事件があったという。
母親が後ろから娘を押さえつけ、父親が前から包丁で滅多刺しにするという惨い事件で、落書きは、その時の様子を書いた文字なのだ。
事件の後、警察官がこの落書きを消そうとしたが、どんなに消そうとしても消えることはなく、気味が悪いと思った住民達が業者に依頼し、上からコンクリートで塗り潰しても、その下から浮かびあがる様に、落書きは現れたらしい。
あまりの恐ろしさに住民は次々に引っ越し、いつしか付近の住人はいなくなり、その区画には、落書きだけが消えることなく残されてしまった。
これはあくまで噂だが、この落書きを面白がって見にいくと、前に女の子の父親が、後ろに母親が現れる。
そして落書きを見た人は母親に押さえつけられ、そのまま包丁を持った父親に、女の子と同じように殺されてしまうという。
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69:トンカラリン助
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2025/07/02 (Wed) 10:10:14
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近所の小学校の前の信号に子ども達に挨拶をしているおじさんがいる。
「おはよう」と笑顔で挨拶している。
しかしみんな友達と話したりで誰もおじさんに挨拶を返さない。
最近の子どもはなってないな…なんて思いながら、僕はそのおじさんに明日挨拶してあげようと思った。
翌日、小学校の前の信号、向こう側にはおじさんがいる。
今日も子ども達は素通りだ。
信号が青になった。
信号を渡る、「おはよう」とおじさんが子ども達に挨拶している。
僕はおじさんに「おはよう」と返した。
おじさんは僕を見つめいつもより素敵な笑顔でこう言った。
「やっと見つけた」
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70:トンカラリン助
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2025/07/02 (Wed) 10:51:58
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怪談話や都市伝説において口裂け女やトイレの花子さんなどがあるが、数多く目撃例があるにも関わらず実証されていないのが事実だ。
これは私が中学生の頃の実体験である。
中学校までの通学路に畑があった。畑といっても何も作っている様子もない場所にいつも立っているおばさんがいた。
髪もバサバサで毎日同じもんぺを履いて畑を手入れする訳でもなく手を後ろに組んで立っている。
絶対に後ろを見せない。よく見るとただ立っているだけではなく登校している学生や通る車などを鋭い視線で睨みつけていた。
すぐに学校で噂になり、みんな好き放題言っていた。
あいつはあそこから動かないとか夜中になったら消えるとか。夜に通学路を車ぐらいのスピードで走っていたなんてのもあった。
しかし調べてみると卒業した3つぐらい上の先輩のおばあさんである事が判明。
みんなはホッとしたのか残念なのか複雑な様子で話は消え掛かっていた。
しかしやはりおばさんは毎日いる。朝も夕方も毎日あの場所に立って睨みつけている。
唯一残った噂が後ろに組んだ手に草刈り鎌を持っていて鎌子と呼ぶと切り刻まれてしまうというもの。
しかしおばさんの身元が分かった以上誰も信用しておらず、おもしろおかしい都市伝説的な感じになっていた。
そんな中事件が起きた。悪ふざけをする連中が立証しようと下校時に試すと言うのだ。
みんなは「やめとけよ」と言いつつ興味津々。下校時にみんながついて来てしまった。
こんな大人数だったら怪しまれるとみんな遠くに散らばり帰る振りをしながら畑を囲んで見ていた。おばさんもいつもの様にいる。
問題の言い出しっぺが道路を挟んで畑の前に立ち意を決して叫ぶ。
「かまこ~っ!」
次の瞬間おばさんが何かを投げた。
慌ててよける。当たりそうだった。おばさんは車が来るのも関係なくその子を追いかけて行った。
中学生を追いかけるなんてお年寄りには考えられなかったが、それよりみんなは何を投げたか確認をしに走った。
そこにあったのは刃渡り30センチ程の大きな草刈り鎌だった。かろうじてよけたものの、もし当たっていたら…考えると恐ろしい…。
その後、警察沙汰にもなりその子とおばさんは厳重に注意されたが事件には及ばなかった。
しかし私達は噂が現実になる瞬間を目撃してしまった。
みなさんも都市伝説や噂の怪談話などを立証しようと決して思わないで下さい。
恐怖体験どころか事件に巻き込まれる可能性は大きいですよ。